
29日、タイの首都バンコクで、地震により倒壊したビル(ロイター=共同)
◆―― 軍政、異例の支援要請 タイ、ビル倒壊で犠牲者
【ヤンゴン共同】ミャンマー中部を震源とするマグニチュード(M)7・7の大地震について、国営メディアは29日、死者数が694人、負傷者数は1670人に増えたと伝えた。軍事政権は被害がさらに広がるとの見通しを示し、国際支援を歓迎すると表明した。隣国タイでも強い揺れを観測し、首都バンコクでは建設中のビル倒壊などで8人が死亡、80人以上が行方不明になった。
現地からの情報によると、人口密集地の中部マンダレーなどでは建物の倒壊が深刻。2021年2月のクーデターで国際的孤立を深めた軍政は独力での危機打開が困難と判断し、異例の支援要請に踏み切ったとみられる。ミンアウンフライン総司令官は早ければ29日にも、東南アジア諸国連合(ASEAN)やインドからの支援物資が到着すると述べた。
米地質調査所(USGS)は首都ネピドーよりもマンダレー周辺と北部ザガイン地域の被害が深刻だと分析し、死者が千人規模に達する恐れもあるとの推定値を示している。
バンコクでは29日、ビル倒壊現場で、がれきの下に埋まったとみられる作業員らの捜索活動が続いた。タイ政府によると、作業員ら7人が死亡した。別の建設現場でも1人が死亡した。
タイとミャンマーの日本大使館によると、両国で日本人の被害は確認されていない。
ミャンマー軍政は経済制裁を科す米欧と対立し、周辺国で構成するASEANとも対話が難航。最近は中国とロシアへの接近を強めている。