
30日、ミャンマー中部マンダレーで、地震により倒壊した建物で救助活動を行う人々(ロイター=共同)
◆―― 死者1700人、増加も 日本人1人連絡取れず
【マンダレー共同】ミャンマーの大地震は発生から3日目となり、震源に近い中部マンダレーなど各地で30日、倒壊した建物の下敷きとなった人々の救出活動が続いた。生存率が著しく下がる「発生後72時間」が日本時間の31日午後3時過ぎに迫り、国内外から集まった救助隊は捜索を急ぐが、重機など機材の不足が深刻で救助は難航している。軍事政権を率いるミンアウンフライン総司令官は30日、死者は約1700人、負傷者は約3400人だと述べた。
日本政府関係者によると、マンダレーで崩壊した建物に住んでいた日本人1人と連絡が取れていない。政府は地震に巻き込まれた恐れがあるとみて、ミャンマー側に捜索を依頼した。
軍政との内戦を続ける民主派の政治組織「挙国一致政府(NUG)」は29日付の声明で、救助を優先するため被災地で2週間の停戦を履行すると発表した。安全が確保されれば、政権支配地域でも国際機関の救援活動に協力する意向だ。
内戦では民主派よりも戦闘能力の高い少数民族武装組織が戦況を左右しており、停戦宣言の実効性は不明だ。軍政側が空爆を継続しているとの情報もある。
軍政は連日、死傷者数の増加を詳細に発表し、国外からの支援を要請。友好国の中国とロシアに加え、隣国のインドとタイが既に救助隊を派遣しており、支援物資も届き始めた。日本外務省は30日、国際協力機構(JICA)職員や医療関係者を含む調査チームを派遣すると発表した。
国営テレビによると、総司令官は30日に東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国マレーシアの首相との電話会談で、死者数と負傷者数を説明した。
マンダレーは国内第2の都市で人口密集地。今回の地震で最も深刻な被害を受けた地域の一つで、周辺一帯で多数の建物が倒壊したとみられる。
一方、タイの首都バンコクでは30日も、多数の建設作業員が巻き込まれた高層ビルの倒壊現場で救助活動が続いた。救急当局によると、これまでに10人の遺体が収容され、約80人が行方不明。バンコク全体での地震による死者は17人となった。