
28日、タイの首都バンコクで、ミャンマー中部を震源とした地震の後、運ばれる負傷者(ロイター=共同)
◆―― 不明者多数、被害拡大か
【ヤンゴン、バンコク共同】米地質調査所(USGS)によると、ミャンマー中部で28日午後0時50分(日本時間午後3時20分)ごろ、マグニチュード(M)7・7の地震があった。地元メディアによると中部バゴー地域で約20人が死亡した。中部マンダレーや北部ザガイン地域でも多数が負傷、被害拡大の恐れが強い。隣国タイの首都バンコクでも強く揺れ、建設中のビルが倒壊し、作業員らが生き埋めになった。プンタン副首相によると、3人が死亡、約90人が行方不明となった。
バンコクでは他にも建設中の高層ビルなどで死傷者が出たもようだ。USGSの解析では、震源地はミャンマー第2の都市マンダレーの近くで、震源の深さは約10キロ。十数分後には、周辺でM6規模の地震が発生した。バンコクで大きな揺れを伴う地震は極めてまれ。
タイとミャンマーの日本大使館によると、両国で日本人の被害は確認されていない。
バゴー地域では、金曜礼拝が行われていたモスク(イスラム教礼拝所)が倒壊し十数人が死亡。また国軍と民主派などの戦闘を逃れた避難民のシェルターも被災し、子ども5人が死亡した。
中国国営中央テレビはマンダレーにいた中国人男性を取材し「道沿いの家屋が倒壊し始め、煙が立ちこめた」との証言を報じた。最大都市ヤンゴンの共同通信の支局が入るビルも激しく揺れたが、建物に目立った損傷はなかった。ザガイン地域では橋が倒壊。北東部シャン州でも建物に被害が出た。
ミャンマーの軍事政権は非常事態を宣言した。軍政下にあるミャンマーは内戦中で、通信事情の悪化などから被害規模に関する情報が乏しい。
中国では、ミャンマーと国境を接する雲南省の各地で激しい揺れがあったもようだ。中国メディアによると外壁が落下した高層ビルもあった。住民らが避難した。震源地から最も近い中国の国境までは約300キロある。
【マンダレー】ミャンマー中部に位置する第2の都市。人口156万人(2024年推定)。交通の要衝として経済発展した。鉄道のほか、イラワジ川を利用した水運も盛ん。中華系住民が多く、中国によるインフラ開発や企業進出が相次いだ。19世紀後半に英領に編入されるまでビルマ民族最後の王朝の都が置かれていた古都として知られる。太平洋戦争の激戦地。