
29日、救助作業が続く、建設中のビルが倒壊した現場=タイ・バンコク(ゲッティ=共同)
◆―― 被害急拡大、救助に遅れ 軍政、異例の国際支援要請
【ヤンゴン共同】ミャンマー軍事政権は29日、中部マンダレー近郊を震源とするマグニチュード(M)7・7の大地震による死者が1002人、負傷者は2376人になったと発表した。28日午後に発生した地震の死傷者数は急増し、被害はさらに拡大する恐れが強い。首都ネピドーや国内第2の都市マンダレー周辺の被害が深刻だ。軍政は救助と被災者支援に全力を挙げるが、民主派や少数民族武装勢力との内戦で統治能力が弱体化しており、遅れが生じている。
軍政を率いるミンアウンフライン総司令官は、国際支援を歓迎すると表明した。2021年2月のクーデターで国際的孤立を深めた軍政は、独力での危機打開が困難と判断し、異例の支援要請に踏み切ったようだ。軍事と経済の両面で依存を深めている中国、ロシアや、国境を接するインドなどからの支援が中心となりそうだ。
在ミャンマー日本大使館によると、マンダレーでは日本人2人が負傷し病院で治療を受けた。命に別条はないという。ミャンマーに在留する日本人は約2300人(23年10月)で、マンダレー周辺には十数人が在留している。
一方、強い揺れが観測された隣国タイの首都バンコクでは29日も、建設中に倒壊した高層ビル跡での捜索が続いた。救急当局によると建設作業員ら7人が死亡、9人が負傷し、約80人が行方不明となった。別の建設現場でも1人が死亡しバンコクの死者は計8人。
ミャンマー軍政は経済制裁を科す米欧と対立し、周辺国で構成する東南アジア諸国連合(ASEAN)とも対話が難航。民主派弾圧を続けるものの、少数民族武装勢力に一部地域の拠点を奪われている。