西宮神社の「福男選び」で、本殿を目指して一斉に駆け出す参拝者=10日午前6時、兵庫県西宮市
商売繁盛の神様「えべっさん」の総本社として知られる兵庫県西宮市の西宮神社で10日、参拝者が開門と同時に本殿への参拝一番乗りを目指し境内を駆け抜ける伝統神事「福男選び」があった。同県宝塚市の県立宝塚高陸上部2年・大岸史弥さん(17)が先頭で本殿に飛び込み「一番福」となった。
午前6時、太鼓の音を合図に高さ約7メートルの赤門が開くと、くじ引きで選ばれた最初の108人を皮切りに約5千人が境内の石畳約230メートルを全力疾走した。
大岸さんは友人に誘われ初めて挑戦した。「親や友人に感謝している。受験生になるので、部活と勉強を両立できるよう頑張りたい」と笑顔で話した。
二番福は大阪府東大阪市の龍谷大3年・小松勇輝クワァベナさん(21)、三番福は京都府京田辺市の同志社大4年・矢吹彰大さん(22)だった。
昨年の能登半島地震で石川県七尾市の自宅が半壊し、現在は金沢市で暮らす神職・小林隼也さん(31)が開門時に赤門を内側から支える「門押さえ」に加わった。西宮神社も30年前の阪神大震災で被害を受けており、小林さんは「経過した時間は違えど、西宮の街並みを見て能登の復興への希望を感じた」と話した。