準備状況はいかがですか
「工事業者の皆さんも期限内に間に合わせようと総動員して工事に当たってくれたことで、12月19日のプレオープン、25日の本オープンを迎えることができました。工事と並行して、従業員の研修も既存ホテルで進めてきました。オープン後も満足してもらえるよう、ソフト面の充実を常に求めていきたい」
コンセプトは
「『望楼』シリーズは、お部屋の中でくつろぎ、静かな時間を過ごしてもらっています。今回の『BOUROU』では、室外に出てもらい、館内全体を楽しんでもらう狙いがあります。目の前には屈指のカルデラ湖である洞爺湖があります。建物の中にいるけれども自然が近く、どこが境界線か分からないような造りで、洞爺湖全体を楽しんでもらうことを掲げています」
具体的な仕様について
「洞爺湖を満喫してもらうために、どう感じてもらうか︱を考えて建物を造りました。宿泊部屋は本来、広めに設けるのが一般的ですが、今回はあえて狭くしてベランダを広く確保しました。全部屋から洞爺湖を眺めることができるので、窓越しだけではなく、ぜひ屋外に出て五感で感じてもらいたい。自然との境界線をあいまいにすることで、四季折々を感じられる仕組みを心がけました」
こだわりは随所に見られます
「食事で提供する食材は、胆振管内や地元にこだわったものを中心としています。建物には札幌軟石や道産木材も使用しており、可能な限り北海道産を意識しています。私たちができる最大限で宿泊客をもてなしたい。道外から来ても洞爺、北海道に触れられる機会を提供できれば、企業としての役目を少しでも果たせるのではないでしょうか。ホテル名は、海外からの観光客にもなじみやすいよう『BOUROU』とローマ字表記にしました」
国内外の富裕層をターゲットとした新たな高級路線となります
「先代の社長は、価格帯をハイクラス、アッパーミドル、リーズナブルの三つのカテゴリーに分けました。一昨年に亡くなる以前、客層の幅を厚くしたいと話していました。『BOUROU LAKE TOYA』は、新たなカテゴリーとしての試金石となり、野口観光にとっても大事なリニューアルです。先代が導入した客層の多層化は、リスク回避にもつながり、コロナ禍で助けられました。今後同様のリスクが発生した際に、従業員を助ける意味でも、新しいチャレンジが必要になります。信用や宿泊客は、地域分散に取り組んだ創業者と客層の多層化を図った先代が残してくれたもの。その評価が野口観光へのリピーターにつながっています。ブラッシュアップして、価値を向上させる必要があります。そのために、さまざまな挑戦を続けていきます」