
2025年度予算が成立し、首相官邸で記者団の取材に応じる石破首相=31日午後
◆―― 衆院同意、現憲法下で初
2025年度予算は31日の衆院本会議で成立した。一般会計の歳出(支出)総額は過去最大の115兆1978億円。衆院で少数与党の石破政権は野党の要求を踏まえ、異例の2回の修正に応じることで24年度内の成立を図った。参院で修正された予算案が、衆院の同意を得て成立するのは現行憲法下で初めて。石破茂首相は「国民生活が安定するよう、予算執行に力を尽くす」と記者団に述べた。
首相は野党との政策協議によって、最優先課題と位置付けた予算成立のハードルを乗り越えた。4月からの後半国会は、企業・団体献金や選択的夫婦別姓制度などが論点となる。立憲民主党の野田佳彦代表は「野党が団結すれば、もっと予算を大幅修正できたはずだ。後半国会も野党連携が大事になる」と語った。
政府は通常国会召集日の1月24日に予算案を提出。自民、公明両党と日本維新の会が合意した高校授業料無償化や、所得税が生じる「年収103万円の壁」見直しに伴う修正が行われ、3月4日に衆院を通過した。
さらに参院での審議開始後の7日、首相が高額療養費制度の自己負担上限額引き上げ全面凍結を表明。与党は27日、再修正案を参院に提出した。
予算案は31日の参院本会議で、自民、公明、維新などの賛成多数で可決後、衆院に回付された。立憲民主党、共産党、国民民主党、れいわ新選組などは反対した。衆院本会議では、与党提出の再修正案が採決され、全会一致で同意となった。
一般会計の歳出総額は政府提出案から3437億円減額した。国会で当初予算案を修正したのは1996年以来29年ぶり、減額修正は55年以来70年ぶりとなった。