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2024/11/07 12:30科学・文化・教育

〈速報・動画〉福島第1原発デブリ初回収、試験的に3グラム以下 計880トン、廃炉最難関

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東京電力の福島第1原発2号機=8月

◆―― 本格取り出しへ分析
 東京電力は7日、福島第1原発2号機で溶融核燃料(デブリ)の試験的な取り出しを完了したと発表した。回収は2011年3月の事故後初めて。デブリは小石状で3グラム以下。今後、茨城県の研究施設へ搬出し分析、本格的な取り出し工法や保管方法の検討に活用する。

 デブリは1~3号機に推計880トンあり、取り出しは廃炉工程の最難関となる。政府と東電は51年までに廃炉を完了する目標を掲げ、21年に取り出しを開始する計画だったが、工法変更などで3回延期された。

 東電によると、原子炉格納容器に隣接する収納箱側面の扉を開けて、午前11時40分にデブリを収めたアルミ製の容器を作業員が回収した。同じ建屋内に設置したグローブボックスと呼ばれる密閉装置に移し、重さや大きさを計測する。5日に測定した放射線量は毎時0・2ミリシーベルトで、想定した上限の24ミリシーベルトを下回った。

 取り出しは最長22メートルに伸びる釣りざお式の採取装置を使用。10月28日に格納容器の貫通部から装置を差し込み、30日に先端からつり下げた爪形器具で容器底部の小石状のデブリをつかんだ。そのまま装置を収納箱まで引き戻し、11月5日に作業員の被ばくを抑えられる線量を下回っていることを確認した。

 今回の取り出しは8月22日に準備作業を始めたが、採取装置を押し込むパイプの並び順の誤りで中断した。再開後の9月14日にデブリを一度つかんだが、17日にカメラの映像が映らなくなり再び中断。カメラを交換して再開した。


 【福島第1原発のデブリ】2011年3月の福島第1原発事故で、冷却ができなくなった1~3号機の燃料が溶け落ち、冷えて固まったもの。原子炉内にあった制御棒などの構造物や金属、コンクリートも混じっているとみられるが、成分や状態、どこにどれだけあるかなど全容は分かっていない。原子炉建屋の水素爆発を免れ、調査が比較的進んでいる2号機で最初に取り出しを始め、3号機、1号機の順に進める計画。



◆―― 廃炉の課題、丁寧に説明を 福島第1原発デブリ回収
 【解説】東京電力が福島第1原発2号機で事故後初めて、溶融核燃料(デブリ)を回収した。廃炉が前進したように見えるが、推計880トンの全量回収を目指す工程からすれば小さな一歩にとどまる。この先は未解決の課題が山積する。政府と東電は現状に真摯に向き合い、被災者や国民に課題を丁寧に説明する努力が必要だ。

 事故が起きた2011年の年末、当時の民主党政権がまとめた廃炉工程表は、10年以内のデブリ取り出し開始を掲げた。目標は自公政権も引き継いだが、前段となる原子炉格納容器の内部調査は難航。取り出し機器の開発も遅れ、3度の延期を繰り返した。今回は「試験」との位置付けで、回収したのは微量だ。

 今後は取り出し規模を拡大しなければならないが、工法は決まっていない。大量のデブリを本当に取り出せるのか、実際に取り出しても保管や処分はできるのか、見通しは立っていない。

 今回の作業中に起きたミスやカメラの不具合を巡る対応からは、廃炉の前進よりも、東電の管理能力低下や説明姿勢の後退ばかりが目立つ。第1原発の廃炉の困難さと先行きの不透明さが改めて浮き彫りとなっている。

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