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発生から1カ月となった埼玉県八潮市の陥没事故現場周辺=28日午前
埼玉県八潮市で県道が陥没しトラックが転落した事故は28日、発生から1カ月となった。現場には今も巨大な穴が残ったままで、県や消防が不明の男性運転手(74)の捜索を続けている。男性は現場地下の下水道管内に取り残されている可能性があり、県は下水を迂回させるための大規模なバイパス工事を進める。
事故は1月28日午前に発生。消防によると、当初は幅3メートルほどだったが、新たな陥没が発生するなどして徐々に拡大した。現場は地盤が弱く崩落の恐れがある上、穴に流れ込む大量の下水が妨げとなり、救助活動は長期化を余儀なくされた。
県は2月11日、陥没地点から約30メートル下流の下水道管内で見つかったトラックの運転席部分の中に、男性がいる可能性があると発表。現場に流れ込む下水を止めるため、下水道管の上流側と下流側を結ぶバイパス工事を施した上で、男性を捜索する方針を明らかにした。工期は3カ月程度を予定している。
近くに住む会社員の児玉稔さん(50)は「まさか1カ月も工事が続くとは思わなかった。よく家の前を重機が通るので、揺れたり、大きな音がしたりする」と話す。不明の男性については「いつ自分が同じような事故に巻き込まれるか分からない。早く救助されてほしい」と心配そうに語った。
陥没事故後、県が周辺住民47人に出した避難要請は、地盤改良工事の完了に伴い2月19日に全て解除された。一方、現場上流のポンプ場近くの川に下水を流す「緊急放流」は今も続いている。