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山林火災の消火活動をするヘリコプター=28日午前8時58分、岩手県大船渡市
◆―― ヘリ増強、避難指示拡大
岩手県大船渡市の大規模山林火災は発生3日目の28日も延焼が続き、市によると、焼失面積は少なくとも1200ヘクタールに上った。27日までは600ヘクタール以上としており、実態把握が進んで倍増した。総務省消防庁によると、平成以降の林野火災として国内最大となる。自衛隊がヘリコプターの数を増やすなど態勢を強化して消火活動を実施。市による避難指示の対象は1755世帯4263人に拡大した。
1200ヘクタールは東京ドーム約250個分に当たる。記録では、これまでの最大は1992年に北海道釧路市で起きた1030ヘクタールだった。
大船渡市の赤崎町や三陸町綾里では住宅など少なくとも84棟が燃えたとみられ、実態把握にはさらに時間がかかるという。赤崎町合足では火の手が西側の大船渡湾方面に向かって広がっており、市街地への延焼を食い止めるため、地上とヘリから消火活動が進められている。ヘリは16機に増強し、このうち散水能力が高い自衛隊の大型ヘリは4機で、今後さらに2機増やす。
大船渡市は火災が広がっているとして、新たに415世帯957人に避難指示を出した。28日午後6時時点で約860人が避難所に身を寄せている。28日は3小中学校が臨時休校となり、そのうち綾里小は3月7日までの休校が決まった。
政府は28日、首相官邸に設置していた情報連絡室を官邸対策室に格上げした。関係閣僚会議も開催し、石破茂首相は「対応に万全を尽くしてもらいたい」と指示した。消防庁は新たに群馬、埼玉、千葉、東京の4都県に緊急消防援助隊の出動を要請し、活動規模は計12都県447隊1675人になった。
27日には成人男性とみられる1人の遺体が見つかっており、県警は火災に巻き込まれたとみて身元確認を急ぐ。
◆―― 避難所の環境確保指示 首相、関係閣僚会議で
政府は28日、岩手県大船渡市の山林火災を受け、石破茂首相らが出席して官邸で関係閣僚会議を開いた。首相は「避難所での滞在長期化が想定される」と指摘し、坂井学防災担当相に被災者の良好な生活環境の確保に努めるよう指示した。「まさに災害として対処しなければならない事案と認識し、対応に万全を尽くしてもらいたい」と訴えた。
村上誠一郎総務相と中谷元・防衛相に対し、火災の早期鎮圧に向けて必要な部隊を投入し、消防と自衛隊が一体となった消火活動を行うよう要請。自治体の意見や要望を聞き、さまざまな支援制度を活用しながら住民の生活再建を促進するよう求めた。