道路が陥没しトラックが転落した穴(下)と引き上げられた荷台部分。左上は未明の作業中に新たに発生した陥没=29日午前8時19分、埼玉県八潮市(共同通信社ヘリから)
埼玉県八潮市の県道交差点で道路が陥没しトラックが転落した事故から一夜明けた29日、地元消防は、運転手とみられる男性1人の救助活動を続けた。県によると、男性は74歳。陥没でできた穴には水がたまり、運転席部分が土砂に埋まった状態で、作業は難航している。消防によると、同日未明には大型クレーンなどを使い荷台部分の引き上げを完了したが、運転手の安否は分かっていない。
県警によると、未明の作業中、現場近くの道路で新たに幅3メートルほどの陥没が発生。地下にガス管が通っており、パトカーが「近隣住民の方は避難をお願いします」と呼びかけるなど、緊迫した雰囲気に包まれた。
現場にいた共同通信記者が、近くの飲食店の看板が倒れるのも確認した。
大野元裕知事は29日午前、報道陣の取材に「下水道管内の土砂が押し流されたとみられ、陥没が拡大する可能性を否定できない」と述べた。
事故は28日午前9時50分ごろ、陥没を目撃した男性が110番。消防によると、トラックが転落した穴は幅約10メートル、深さ約6メートルとみられる。陥没はトラックの通過直前に発生したという。当初、男性は意識があり会話ができる状態だったが、28日午後1時ごろを最後にやりとりができていない。
県担当課の説明では、県道の地下約10メートルにある下水道管が腐食し、破損した部分に土砂が流入したことで、地中に空洞が発生。その上を車両などが通った重みで、陥没した可能性がある。
県は陥没後、さいたま市など県内12市町に下水道の利用自粛を呼びかけた。計約120万人に影響するとしている。