３日、ソウルの大統領公邸付近で、尹錫悦大統領の拘束令状執行に反発する支持者ら（共同）

　【ソウル共同】韓国の尹錫悦大統領を内乱容疑で調べる高官犯罪捜査庁（高捜庁）は３日朝（日本時間同）、尹氏の拘束令状と公邸の捜索令状の執行を試みていると明らかにした。捜査員らは尹氏がいるソウルの公邸敷地内へ進入したが、警察関係者によると、大統領警護庁トップは令状執行について、警護上の理由で「不許可」との判断を示した。令状執行には至っていない。現職大統領が拘束されれば初めて。

　警察関係者によると、公邸に向かった高捜庁の捜査員と警察官は計約１５０人で、うち約８０人が敷地内に入った。韓国メディアによると、公邸の建物前まで迫ったが、警護庁の警護部隊が立ちふさがっているという。公邸付近には尹氏支持の保守層が集結し、高捜庁に反発。警察の機動隊員約２７００人が警備に当たった。

　尹氏の弁護団は３日、令状は「違法だ」と改めて主張し、執行された場合は「法的措置を取る」と表明した。

　高捜庁は、令状を有効期限の６日までに執行する構え。尹氏は職務停止中だが、現職大統領として警護を受けており、高捜庁は警護庁に対し、執行を阻止した場合は公務執行妨害罪に当たると警告していた。

　尹氏側はこれまで、公務、軍事上の秘密に関わる場所の捜索、物品の押収を制限する刑事訴訟法の条項を根拠に、捜査の不当性を主張してきた。だが、ソウル西部地裁は捜索令状に、今回の事案は例外だとの趣旨の文言を明記していた。

　尹氏は１日、公邸前に集まった支持者らに「皆さんが頑張る姿を見ている。一緒にこの国を守るため最後まで闘う」などとする署名入りメッセージを関係者を通じて配布、「抵抗を呼びかける扇動だ」との批判も出た。

　与党「国民の力」の権性東（クォンソンドン）院内代表は３日「現職大統領の無理な拘束は自制すべきだ」と反発。最大野党「共に民主党」の朴賛大（パクチャンデ）院内代表は警護庁に「令状執行を妨害すれば内乱の共犯になる」などと警告した。