新年を迎えられる天皇ご一家=2024年12月29日、皇居・御所(宮内庁提供)
天皇ご一家は1日、新年を迎えられた。天皇陛下は宮内庁を通じて感想を公表し、能登半島地震や各地の災害、物価高などによる苦労を案じた上で「人々がお互いを思いやり、支え合いながら、さまざまな困難を乗り越えていくことができるよう願っている」とつづった。
今年は戦後80年の節目に当たる。陛下は「終戦以来、人々のたゆみない努力により、今日の平和と繁栄が築き上げられた」とする一方、世界各地では戦争や紛争で多くの命が失われている現状に「深い悲しみを覚える」と記した。
「平和な世界を築いていくために、人々が違いを認め合い、共に手を携えて力を合わせていく大切さを感じる」とした。
その上で「新しい年が、希望を持って歩んでいくことのできる年となることを祈る」と結んだ。
戦後80年に際して天皇、皇后両陛下が広島、長崎、沖縄を訪問する方向で検討が進んでいる。
1月17日は1995年の阪神大震災の発生から30年となる。両陛下は神戸市で開かれる追悼式典に参列し、当時の被災者らとも面会する。主要地方公務は、5月に埼玉県で全国植樹祭、9月に長崎県で国民文化祭、滋賀県で国民スポーツ大会があり、11月は三重県で全国豊かな海づくり大会が予定される。
3月にはブラジルのルラ大統領が国賓として来日する見通しだ。実現すれば2019年5月のトランプ米大統領(当時)以来、6年ぶりに宮中晩さん会などが催される可能性がある。
昨年初めて単独での地方公務を経験した両陛下の長女愛子さまは、今年も地方を訪れ、交流する場面が見られそうだ。
秋篠宮さまは11月に60歳の還暦を迎える。4月に開幕する大阪・関西万博の名誉総裁を務める。長男悠仁さまは3月に筑波大付属高(東京都文京区)を卒業し、4月から筑波大(茨城県つくば市)の生命環境学群生物学類に進学する。
上皇さまの弟常陸宮さまは11月に90歳になる。
◆―― 天皇陛下の感想全文
新年に当たり、天皇陛下が宮内庁を通じて公表された感想の全文は次の通り。
昨年は、年初の能登半島地震をはじめ、台風や豪雨などによる災害が各地で発生したほか、物価の上昇などもあり、多くの人にとってご苦労の多い年であったことと思います。困難を抱えている人々のことを案じると同時に、そのような人々のため、また、社会のために地道に活動に取り組んでいる人も多いことをうれしく思っています。今年も、人々がお互いを思いやり、支え合いながら、さまざまな困難を乗り越えていくことができるよう願っています。
今年は、戦後80年の節目を迎えます。終戦以来、人々のたゆみない努力により、今日のわが国の平和と繁栄が築き上げられた一方で、現在も戦争や紛争により、世界各地で多くの人の命が失われていることに深い悲しみを覚えます。平和な世界を築いていくために、人々がお互いの違いを認め合い、共に手を携えて力を合わせていくことの大切さを感じます。
新しい年が、わが国と世界の人々にとって、希望を持って歩んでいくことのできる年となることを祈ります。