新型コロナの影響が直撃した飲食店応援のキャンペーンを相次いで実施した
寄り添う対応、高く評価
コロナ禍に見舞われた室蘭経済。国内感染が明らかになった2020年初頭以降、緊急事態宣言などにより、不要不急の外出自粛が呼びかけられた。売り上げ低迷に加えて世界情勢による原材料価格高騰も重なり、さまざまな業種がダメージを受けた。室蘭商工会議所は栗林和徳会頭から中田孔幸会頭へと体制を移行する中、会員事業所の経営支援に注力。各種補助制度を活用する際に必要な書類作成といった申請作業をサポートするなど、寄り添った対応を展開してきた。
20年1月中旬に国内で感染者が初めて確認されると、マスクは店頭から姿を消してトイレットペーパーが品薄となるなど、混乱ぶりはオイルショックの様相をほうふつとさせた。その後も東京五輪の延期や緊急事態宣言の発令、新しい生活様式の導入、宅配事業の参入-といった変化が次々と表れていった。
コロナ禍で苦しんでいる事業所の支援として、20年1月末に経営相談窓口を設置した。同年6月からは体制を強化。国の持続化給付金などのサポート業務も担い、専用窓口を設けた。
会員トータルサポートデスクは21年6月に設けた。緊急事態宣言などで影響を受けた事業者への国や道の支援金申請で「オンライン申請ができない」「申請方法が分からない」などの声に対応すべく、事業所と二人三脚で申請作業を進めてきた。会員を対象としていたが、新規加入での利用にも門戸を広げて柔軟な対応が評価された。
コロナ対策と並行して、室蘭、登別、伊達3商工会議所は、3会頭連名で「『新型コロナウイルス感染症対策』緊急共同宣言」に署名。会員事業所と全ての事業者に寄り添った活動を展開したほか、感染予防の強化と対策の周知、国・道・市との連携、3商議所の連携-などを定めた。各商議所の支援事業や活動についてノウハウを共有し効率的に実施するなど、可能な限りの協力で危機を乗り切ることを確認した。
このほか、事業所向けに感染予防のフローチャートをまとめ、新しい生活様式が導入されてからは、飲食店応援のキャンペーンも実施した。
23年5月に感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同等の5類に移行して、原材料価格や燃料の高騰に経営課題がシフトする中、会員の経営状況や支援制度のニーズを把握する調査も実施した。
日本政策金融公庫と連携したマル経資金は、商議所の経営指導を受けている小規模事業者が、経営改善に必要な資金の融資を無担保・無保証で受けることができる。ワンストップ型の窓口でアドバイスを行う経営相談室を開設したり、セミナー経費の助成を設けるなど、会員事業所のメリット拡充も奏功した。
23年に商議所と市が主催した創業スクールは、例年の倍以上となる23人が参加。24年6月も21人が受講した。期間を短縮して講座内容を充実させた面もあるが、コロナ禍で事業者支援の姿勢を積極的に打ち出したことが、創業希望者の不安解消と安心感につながった。