らんらんビアガーデンで橋に投影したライティングパフォーマンス
まち中へ誘導、成果上々
室蘭商工会議所がまとめた中島、中央両地区の再生プランでは、点在する集客施設を利用する市民のまち中への誘導や、高齢者・子育て世代向けの住宅、シェアオフィスの整備などを掲げている。「街のリニューアル」を進め、将来に続くまちづくりを軌道に乗せる狙いだ。
商議所の商業ビジョンや市の立地適正化計画と都市計画マスタープランをベースに、ウィズ・アフターコロナや災害、老朽化物件など社会的背景を踏まえて、地域再生や活力あるまちづくりへの具体案としてまとめた。事業者へのヒアリングや商店街を訪れる買い物客らへのアンケートも加味した。
中島地区では、一帯にショッピングセンターや大型店、公共施設が立地していることから、集客施設を回遊し商店街全体を巡る機能の必要性を強調した。
中島地区での実証事業第1弾として昨年9月に、らんらんビアガーデンが行われた。生命共済発足50周年記念も兼ねて、室蘭・中島飲食店組合の共催でらんらん橋広場で開催。橋に動画を投影するライティングパフォーマンスも好評だった。道南バスとスターマリンがタイアップした知利別川クルーズの夜間特別運航も人気を集めた。
まちなかキャンパスは、多世代が集う企画として行われた。中島町のビル・サンプラザを拠点に、子どもから大人まで楽しめる科学実験のほか、eスポーツ大会を開催して交流を深めた。
中央地区再生プランの実証事業として、むろらん歴史探検スタンプラリーが、8月上旬から約1カ月間開催された。昨年の中島地区と同様に、スマートフォンアプリを活用。スタンプを集めて申し込むと抽選で豪華景品が当たる内容だ。
特典クーポンを見せると参加店舗からサービスを受けられるほか、開催期間中が夏休みと重なったこともあり、昨年よりも60人ほど多い190人が申し込んだ。参加者は市内ほか、札幌市や帯広市、厚真町に加え、遠くは家族旅行で道内を訪れた静岡県の人もいた。
申し込みのあった190人にアンケートを取り、印象に残った歴史的な街並みとして約3割が「日本一の坂」を挙げていた。海岸町の旧室蘭駅舎近くにあるなだらかな斜面は、かつて麓にあったそば屋の店名から採用されたという。
「日本一の坂には初めて行った。まだまだ知らない場所があるんだなと思った」「今回を機会に室蘭市内の他のスポットも見たいと思い散策を予定に組み込んだ」などの回答があった。スタンプラリーの開催がまち歩きのきっかけとなっており、まち中への誘導を掲げる実証事業の成果が表れた格好だ。