対談するDENZAIの上村氏(左)と室蘭民報社の野田社長
クレーン業大手、DENZAIグループの上村浩貴代表取締役社長・CEO(最高経営責任者)が20日、室蘭民報社を訪れ、野田龍也代表取締役社長と対談した。上村氏は、順調な国内事業に加え、韓国の国家プロジェクトを手がけていることに触れ「DENZAIとして第2章をスタートさせるという気持ちで、大きく成長させていきたい」と決意を語った。
同グループは、韓国での大規模石油化学生産設備建設で、揚重作業の受注に加え、シンガポールの港湾作業が好調だった。道内では半導体新工場や新幹線関連工事を手がけるなど、2025年3月期の連結売上高は過去最高になる見通し。
野田社長は同グループが今年、アフリカに初の事業拠点やサウジアラビアに合弁会社を設立するなど積極的に海外進出していることに言及。上村氏は、海外で加工貿易の動きが盛んな一方、プラント建設についての技術が不足しているとの見方を示す。その上で「海外には大きなニーズがあり、長期的な成長を考えれば海外進出は欠かせない」と強調した。
国内では福岡県や広島県のクレーン業の会社を完全子会社化した。上村氏は、システムで営業や事業面を一元管理することで「連携や相乗効果が生まれ、売り上げを押し上げることにつながった」と実感を込める。
上村氏が理事長を務める室蘭洋上風力関連事業推進協議会(MOPA)では、洋上風力発電所の建設などに求められる世界標準の認証が取得できる訓練施設を西胆振に誘致する方針。「この地域には技術力が備わっている。関連産業含めて長期にわたりまちを活気づけたい」とした。
野田社長は漁業関係者との共生について、国内で洋上風力事業が動き出しているため「各地のさまざまな研究データが大きな意味を持つのでは」と独自の視点で提言。上村氏は各データの知見を得た上で「多くの方々から理解を得られるよう、具体的な話をしていきたい」と述べた。