「室蘭商工会議所１００周年　経済・商業発展の１世紀総括」第５部・未来へ②　三つの事業方針

「いいもの。たくさん。室蘭産。」のイメージキャラクター「らんドル」は子どもたちにも大人気

まちの全体“新化”目指す
　室蘭商工会議所の中田孔幸会頭が掲げたテーマは、「『街』『人』『絆』のシンカに向けて」。コロナ禍での需要減や相次ぐ原材料価格の高騰などを念頭に、危機的な経済状況からの脱却、経済の活性化に向けた先導役、盛り上げ役を目指すことが狙いだ。

　三つの事業方針を掲げた。「ＣＳＶ（共通価値の創造）事業への取り組みの推進」は、社会課題の解決による経済的価値の創造を図るため、人口減少を念頭に置きながらまち全体を“新化”させるプロジェクトだ。

　地元推奨品ＰＲ活動として「いいもの。たくさん。室蘭産。」をスタートさせた。地元産品の発信や販路拡大の一環として、審査をクリアした商品に室蘭名物の“お墨付き”を与える取り組み。カレーラーメンやいくらのしょうゆ漬け、クッキーなどの食品のほか、たき火台や化粧品などその数は３０を超える。

　イメージキャラクター「らんドル」も誕生した。イルカをモチーフに、にっこりとした笑顔が特徴で、市内で行われる各種イベントにも積極的に参加して、子どもたちにも大人気だ。

　地域全体で人材育成を図るキャリア教育にも注力。「（仮称）室蘭キャリア教育センター」の設立に動き出し、地元での定住・就労などに向け関係機関によるプラットフォームを構築する。

　新卒・若手労働力の市外流出防止、ふるさと教育の充実、楽しめる魅力づくりなどを目指して、地元行政や教育機関、団体、企業、保護者などが連携して効果的・効率的な事業推進を図る。定期的な情報交換や共有、各機関・団体・企業間の協力依頼の橋渡し、室蘭版キャリア教育事業要領の策定などを想定。２０２４年度末の設置を目指している。

　「持続可能な組織体制づくり」として、組織の活性化と経済人の育成・強化に向けて、議員会を発足した。相互の研修、交流による研さんを深める場を設けて、横の連携を深め市内の政策課題を共有。解決に向け議員会の視点も盛り込む。

　登別室蘭青年会議所（ＪＣ）と地域活性化に関する連携協定も結んだ。連携・協力関係を築き、まちづくりや人材育成でそれぞれの資源や機能を活用しながら、協働して事業に当たる。水素や洋上風力発電事業の推進、商店街の活性化など、商議所が実施するさまざまな事業に対して、ＪＣの若い発想力や行動力を活用する。

　「創立１００周年記念事業の実施」は、「ネクスト１００」と位置付けて、絆を深めて地域全体を盛り上げる事業を展開中。昨年は９９周年の「白寿」と位置付けた。１００周年の今年も記憶に残るさまざまなイベントが開催されている。