丸井今井室蘭支店など3店同時オープンで大型店時代に突入した
広域連携の協議を主導/商環境の大変革に対応
1973年3月の議員総会では、地元産業経済界が抱える問題の多様化や重要懸案の実現促進、商工会議所機能強化を図るため、議員総数を65人から70人に、常議員数を15人から23人に増員した。
会頭に選ばれたのは小林秀光氏。第1次オイルショックを契機に、日本経済が激動に直面した時代。従来以上に行政との提携・協調の強化、地元経済界活性化への試練の時期でもあった。
胆振西部自治体による西胆振広域圏振興協議会が主軸となった地域振興に呼応するように、西胆振3商工会議所も連絡協議会を発足。都市開発や広域経済開発の各委員会が立ち上がった。室蘭商議所は73年9月に3商議所初の広域経済開発懇談会を開催。実質的な3商議所の連携で、懇談会は73年度内で計5回開催された。
また、会員事業所と従業員への生命共済制度もスタート。74年度は新たに特定退職金(従業員退職金)共済制度の実施も決まった。2023年、中島地区再生プラン実証事業の一環としてらんらん橋(中島町)で開催したビアガーデンと知利別川クルーズ夜間特別運航は、生命共済制度発足50周年記念事業も兼ねていた。
76年、小林氏に代わり副会頭として支えた藤田健一氏が新会頭に選任された。グリンデパートやパルコ、ホームストアといた店舗・施設がこれまでオープンしてきた中で、大型店進出の適正競合地域と位置付けられた室蘭は、大幅な商環境の変化に見舞われることになる。
さまざまな道外資本のスーパー進出のうわさが流れる中、78年4月、長﨑屋室蘭店の中島町への出店が決定。その後には室蘭ファミリーデパート桐屋と長﨑屋室蘭中央店の出店計画も明らかになった。
長﨑屋室蘭店のオープンに伴い、商議所は開店前後10日間の売り上げ調査に加えて、出店6カ月後の影響も調べた。小売業界の重大問題としてクローズアップされている表れでもあり、商議所は小売商業部会内に商業近代化推進特別委員会を設置。プロジェクトチームを編成して消費者ニーズ調査や地区別近代化策定事業の計画などを分担して手がけていくことになった。
影響は室蘭以外にもあることから、伊達、登別両商議所と連携して大型店問題懇談会を発足させた。
さらには、丸井今井室蘭支店の移転計画が白日の下となり、桐屋、長﨑屋と3大型店の事前調整は困難を極めた。地域性の問題やまちづくりの観点などが複雑に絡み合い、商業者と消費者間で意見の隔たりも見られた。
数年かけた調整は80年10月23日の会合で終了。翌81年4月15日、3店同時オープンで大型店競争時代に突入。オープン初日に3店で延べ17万人が訪れて、1店当たりの売り上げは1億円ともいわれた。開店後の影響調査でも、やはり室蘭だけではなく登別へも余波は広がっており、商議所のアンケートでは「やっていけそうにない」「転廃業を考えている」「全く見通しが立たない」と回答した小売業は11・7%に上り、改めて大型店時代到来を実感させる結果となった。