2024年12月22日(日曜日)

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2024/05/14 05:00室蘭商工会議所「1世紀総括」

「室蘭商工会議所100周年 経済・商業発展の1世紀総括」第3部・飛躍期⑧ 市外から“黒船来航”

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明治期に誕生した丸井今井室蘭支店

3大型店同時オープン 市内商業環境、大きく変貌
 室蘭の大型店の歴史は、1891年の丸井今井室蘭店までさかのぼる。当時は和服などを扱う室蘭支店としての立ち位置。百貨店機能が備わったのは昭和に入ってから。その後は大型店3店同時オープン、ショッピングセンター(SC)の開設と時代の変遷とともに商業環境は大きく変貌。地域は大型店とともに歩んでいくこととなる。

 丸井は一商店としての開店であり、市内初の大型店は、1978年4月13日オープンの長﨑屋室蘭店(中島町)。開店30分ほどで1万人近い来店客を数え、当日の売り上げはテナント含めて約1億1千万円。大型店の集客力をまざまざと見せつけた。市外からの「黒船来航」は、小売店の売り上げや買い物客数を直撃。以後の大型店出店には8割弱が「反対」というありさまだった。

 伊達や登別、白老、胆振西部からの集客でインパクトが大きい中、時期を同じくして長﨑屋室蘭中央店と室蘭ファミリーデパート桐屋の出店計画が明らかになる。同年10月に行われた胆振・日高商工振興大会では大型店問題が最重要課題としてクローズアップされ、地方への進出規制対策の強化を採択。地元消費者は賛成の意向を示しており、大型店へ賛否渦巻く状況が続いていた。その中で、以前から改築計画を進めていた丸井が、一転して中島町への移転に変更。大型店時代の到来が現実味を帯びた。

 市内のみならず市外への影響も大きいことから、開店に合わせて細部まで調整が行われた。開店日はいずれも81年4月15日。売り場面積は開店時7千平方メートルで、段階的に増床していくこととした。閉店時間や休業日数、年間総営業時間まで定めた。構造不況で小売りの売り上げ減や採算悪化が多かった時期でもあり、3店同時オープンの10日後~1年後の間は、市内各地区で売り上げ伸び率は前年を大きく下回った。

 全国的にはSCがすでにオープンしていたが、室蘭では2000年の弥生SCが皮切り。07年にはモルエ中島がオープンした。

 長く親しまれた丸井室蘭は10年1月末、118年の歴史に幕を下ろした。長﨑屋室蘭中央店も2年後の12年1月末で閉店した。

 両店に共通していたのは、開店当初とは異なり、地域と共存していたこと。中島、中央地区の中心購買地であったことから、地元商店街は大型店からの導線と買い物客増へ知恵を絞った。中島地区では商店街が連携して循環バスを展開。中央地区では、長﨑屋に入居していたテナントのまち中出店に向けて連携。両地区では、ともに商店街組織がスクラムを組み、コンソーシアムを結成。大型店閉店後の商店街活性化に取り組んできた。

 長﨑屋室蘭中央店は、閉店から2年半後の14年7月末にスーパーアークス室蘭中央店が出店。蘭西地区では食料品や生鮮を扱うドラッグストアが相次ぎ進出。市内全域を見ても、ドラッグストアなどの出店やSCの拡張が相次いでいる。

 24年は、市内に24時間営業のスーパーなど大型小売3店舗が新たにオープン予定。昭和の3店同時オープンから40年余が過ぎて、新たな小売り争奪戦の気配が漂っている。

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大型店の動向は地域の商業環境に大きな影響を与えてきた(2010年12月撮影)

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