中小企業相談所の開設など商工業発展の取り組みが行われた
経済自立へ大きく転換 地域発展担う特殊法人に
戦後初となる商工会議所法の制定は、会議所の法的基礎を確立した。地域間の商工業の発展に加えて、社会全般の福祉の増進が新たに目的として掲げられた。定款の全面改定に伴い、従来の社団法人室蘭商工会議所から室蘭商工会議所に改称した。議員選挙や室蘭地方中小企業相談所の開設、中小企業融資制度の構築といった事業を展開して、地域全体の飛躍を目指していくこととなる。
国内全体に目を向けると、日本経済の自立に向けた動きが、一層加速していく時代でもあった。
GHQの対日政策は、日本経済の自立促進を加速させることが狙いにあった。経済安定9原則(ドッジ・ライン)で国際経済への参加を促し、国内経済の安定とインフレ収束を必要条件として、税制の抜本的改革方針が明示された。企業の自主的合理化の促進や輸出拡大、輸入貿易の全面民間移行などが指示された。
経済自立への急激な転換は、先行きへの不安も表れた。朝鮮戦争の勃発前後から明らかになった対日政策の転換と平和条約調印を迎えて、商工会議所法改正の動きが加速。日本商工会議所が法改正の要望書提出を決定し、1953年に新法が公布、施行された。
戦後第2次商工会議所時代の法的基盤となった現行法。制定に際し、衆議院通商産業委員会は「政府は貿易および中小企業の振興、技術の普及、商工業に関する調査等につき商工会議所を一層活用するとともに、特に中小企業金融に関し商工会議所の行う信用調査を活用する道を講ずること」との付帯決議を出した。今後の会議所が担う使命が明確に位置付けられており、経済界にとっても「注目に値する」との評だった。
最大の特徴は、商工会議所を特殊法人と位置付けたこと。公益性、総合的経済団体としての性格を備えており、会員制度を基礎とするほか特定商工業者制度を導入して、地域内の社会全般の利益を図る制度が法定化された。
改組に先立ち、室蘭商工会議所は議員総会で新定款を決めた。1~3号議員を選出。第2次時代が幕開けした。地域の事業者を登録する法定台帳の作成は、新会議所成立から1年以内。室蘭は54年7月5日(組織変更の登記日)を事業開始日に決定。55年末には法人173、個人397の会員を擁した。
この頃から、事業計画は現在に近い内容が展開されてきた。特に、第2次時代が到来したことは「行動する会議所」として位置付けられて、商工業の振興や経営改善指導、観光・貿易・港湾整備などが掲げられた。活動を周知する広報としての商工だより発行、各団体との連携、商圏拡充を狙った展示紹介や座談会、周辺観光と産業展などを企画して、経済循環の礎を築いた。