港湾や鉄鋼、まち場といった地域経済の中核を担う室蘭商議所が創立100周年を迎える
室蘭商工会議所が今年、創立100周年を迎える。室蘭市史や室蘭商議所記念誌などを踏まえて、これまでの歩みや市内商業、経済発展の足跡をたどる。
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地域のにぎわい創出 時代に合わせた事業推進
地域経済の中核を担う室蘭商工会議所(中田孔幸会頭)が今年、創立100周年を迎える。1924年11月6日に室蘭商業会議所として誕生して以来、戦前戦後、高度経済成長、少子高齢化時代といった時代の移り変わりとともに、地域課題解決と経済振興に努めてきた。
1892年、室蘭鉄道営業開始を契機として、全道一の石炭積出港となった室蘭は飛躍的な発展を遂げた。95、96年頃に旗揚げされた室蘭商工会を契機に、複数の業界団体が相次いで誕生した。
若手経営者の誕生や道内各地で商議所設立の動きがあり、室蘭でも機運が高まった。1923年に経済三団体が統合して商工協会が誕生。24年設立発起の認可を要請、同年11月6日付での認可を得た。現在につながる室蘭商工会議所誕生の瞬間だ。
戦時中に一度解散したが、戦後に再認可。商業近代化実施計画の策定や室蘭テクノセンター、中小企業センターの開設、国などへの要望活動などに注力。時代の流れや社会変化に合わせた事業を推進してきた。
室蘭港の競争力確保に向けた港湾機能の整備促進を掲げた。関係先への訪問や要望を重ねたことで、2018年の室蘭-岩手県宮古とのフェリー航路開設につながった。その後休止の憂き目にあったが、23年10月、津軽海峡フェリーによる室蘭-青森航路が誕生。物流・運送業界を取り巻く「2024年問題」の解決の一手として期待されている。
コロナ禍での売り上げ低迷や原材料価格高騰の支援に向けて、各種補助制度を活用する際に必要な書類作成といった申請作業をサポートするなど、会員事業所に寄り添った対応を展開。二人三脚で経営支援、事業継続に臨んできた。
昨年、創立99周年記念事業として、無料循環バスの運行やイルミネーション点灯、スタンプラリー、まちなかキャンパスといった企画を中島地区で開催してきた。100周年の今年は中央地区で実施する計画。地域のにぎわいづくりと経済循環に全力を注ぐ。
長く室蘭産業会館を拠点にしてきたが、むろらん広域センタービルに事務局を移転。官公庁が多くある中央地区から、まち全体の将来を見回している。