熊本県人吉市で開かれた2020年7月豪雨の追悼式。九州5県で災害関連死を含め計79人が亡くなった=2日午前
局地的な豪雨をもたらす「線状降水帯」が発生し、九州5県で災害関連死を含め計79人が亡くなった2020年7月豪雨から3年となるのを前に、被害が大きかった熊本県人吉市で2日、追悼式が開かれた。蒲島郁夫知事は「一日も早い復旧復興と、安全安心を実現する」と述べた。
伯母アヤ子さん=当時(92)=を亡くした同市の介護福祉士倉岡伸至さん(54)は遺族代表のあいさつで「あの日見た惨状、大切な伯母を亡くした悲しみを忘れることはない。一昨日の雨でも『またか』という思いがよぎった。治水対策、復興への迅速な対応をお願いしたい」と訴えた。
兄夫婦を亡くした荒毛美代子さん(75)は「月日がたって(追悼式に)参加できた。水が上がらないようにしてほしい」と話した。
熊本県では球磨川が氾濫し、関連死2人を含め67人が死亡、家屋7千棟超が浸水するなどした。5月31日時点で484戸1043人が仮設住宅に入居している。
熊本、宮崎、鹿児島3県を通るJR肥薩線は八代(熊本)―吉松(鹿児島)間の86・8キロが不通のまま。熊本県と国土交通省は昨年8月、球磨川支流の川辺川に流水型ダムを建設するのを柱とする球磨川水系の整備計画を策定した。ダムは35年度完成を予定している。
各地で追悼の催しがあった。人吉市に接する球磨村では、住民らが川に4色の花を100本流した。自宅からヘリコプターで救助された多武和子さん(72)は「亡くなったのは知り合いばかり。この地を守りますと死者に伝えた」と語った。
同県八代市の「道の駅坂本」では復興を願う七夕飾りが披露された。敷地内に立てられた10本の竹に住民らが「球磨川沿いの自然が早く元のように」「今年は水害が起きませんように」などと書かれた色とりどりの短冊を飾り付けた。
追悼式は八代市でも2日、開かれたほか、芦北町では23日、球磨村では8月6日、それぞれ開かれる予定。
(共同通信社)