2025年3月14日(金曜日)

  1. トップ
  2. むろみんホットニュース一覧(電子版企画)
  3. はるみんオススメ書籍(15)「震える牛」
写真:室蘭満天花火 2025年9月6日(土)開演!!
写真:室蘭・登別・伊達の医療情報 2025むろみんメディカルガイドブック
写真:伊達クリーニングもも

2025/03/10 11:00電子版企画

はるみんオススメ書籍(15)「震える牛」

記事写真メイン

 警視庁捜査一課継続捜査班に勤務する田川信一は、発生から2年が経ち未解決となっている「中野駅前居酒屋強盗殺人事件」の捜査を命じられる。初動捜査では、その手口から犯人を「金目当ての不良外国人」に絞り込んでいた。田川は事件現場周辺の目撃証言を徹底的に洗い直し、犯人が逃走する際ベンツに乗車したことをつかむ。ベンツに乗れるような人間が、金欲しさにチェーンの居酒屋を襲うだろうか。居酒屋で偶然同時に殺害されたかに見える2人の被害者、仙台在住の獣医師と東京・大久保在住の産廃業者。

 田川は、2人の繋がりを探るうち大手ショッピングセンターの地方進出、それに伴う地元商店街の苦境など、日本の構造変化と食の安全が事件に大きく関連していることに気付く。

 2000年代初頭より、爆発的に発生した「BSE(牛海綿状脳症)」。草食動物の牛に、成長促進のため、BSEに感染した肉骨粉などを配合した濃厚飼料を与えたことが原因で、感染が拡大。それに加え、企業による牛肉偽装事件が相次いだ。そして、畜産業や食肉関連産業、食品加工業や外食産業、流通産業、一般消費者をも巻き込む一大問題になった。さらに、BSEは人間にまで、害を及ぼすようになる。これは、人間の欲望が作り出した「食の公害」といえる。

 人が生きていく上で「食べる」ことは欠くことのできない最も重要な行為である。では、現在の便利で手軽に手に入る「食べ物」は、本当に安全なのだろうか。それは、生きている全ての人が考えるべき課題だろう。私たちは、文明の発達と引き換えに、大切なものを失ってしまったのかもしれないからだ。

 明治初期に起きた栃木県足尾銅山鉱毒事件は、渡良瀬川流域を死の川にし、村を廃村にし、田畑を荒らし、人の命を奪った。生涯をかけて、この問題に取り組んだ田中正造は、晩年の日記に書き残す。

 「真の文明ハ 山を荒らさず 川を荒らさず 人を殺さゞるべし」

記事写真1

「震える牛」相場英雄(小学館文庫)

あなたにおすすめのニュース

写真:ドッグフードの神様
写真:Men’s clinic Dylan
写真:医療法人財団 匡仁会
写真:hadato
写真:シミ対策クリームおすすめ人気
写真:カスタムライフmedical
写真:フラワージュ美容クリニック
写真:iPhone買取市場
写真:玄珠米
写真:ぶどうの木
写真:のぼりべつエゾシカ
写真:共同通信社
写真:日本新聞協会
写真:47NEWS
写真:北海道ニュースリンク
写真:地域再生大賞