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卒業制作(左)と早坂さん
◆―― 油彩画など50点「見に来て」
登別市出身で札幌大谷大学芸術学部美術学科油彩専攻4年生の早坂夏花さん(22)の初個展「実生」が27日、室蘭市幸町の市民美術館で始まった。卒業制作やこれまで書きためた作品(油彩画)など約50点を展示し、「4年間の集大成。作品を通じてどのようなことを学んだのか感じてほしい」と来場を呼びかけている。
早坂さんは室蘭東翔高校を卒業後、同大に進学。物心ついた時から絵を描くことが好きだった。中学校から美術部に所属し、高校時代に「第32回全日本高校デザイン・イラスト展」に応募した『たべられたい』が実行委員長賞など、さまざまなコンテストで入賞経験を持つ。
油彩画に出合ったのは高校1年生。初めて挑戦したのは風景画で「ペンや水彩絵の具と違い、重ねて塗ることでより深みが出る。より本物らしい絵を描ける」とのめりこんだ。大学進学は考えていなかったが、オープンキャンパスで見た先輩の作品に「こんな絵を描けたら楽しいだろうな」と進路を決めた。
「今まで自分が描いた作品を地元の人たちに見てほしい」。学生生活を終える区切りとして自身初めての個展を地元で-と開催を決めた。タイトルには大学生活での成長(芽)を、作品を通じて感じてほしいと「実生」とした。4カ月かけて描いた卒業制作や写真、立体造形(石こう)など「飾りたい」と思い入れの強い作品を並べた。
学生時代の憧れが現実に変わった。「どんな人が来てくれるかな」と午前中は家族とともに展示作業に追われた。部活動で同美術館に展示したこともあると懐かしむ夏花さんは「自分の作品だけを飾りたいと思っていた」と当時を振り返り、「家族の応援があって今日を迎えられた」と優しい表情を見せた。
働きながら絵を描き続けたい-。卒業後は札幌のイタリア料理店に就職する。生まれ育った登別・室蘭が好きと語る夏花さんは「いずれは地元に戻り、美術を盛り上げる活動がしたい」。
3月2日までの午前10時~午後5時(最終日は午後3時)。入場無料。