昨年の本欄「穏やかに新年を」と締めた。が、元日に能登地震。胆振東部地震以来の震度7、犠牲者500人超は東日本大震災後で最多という。翌日には羽田事故で海保の5人が亡くなった。新年早々、団らんを震かんさせたニュース。「今年はどんな年に」と感じた人も。被災された方に、あらためてお見舞いを申し上げたい。
■1世紀の室蘭商議所に敬意
本年を回想する。室蘭商議所創立100周年だった。室民納涼花火とのコラボなど多彩な記念イベント、式典も盛大に行われ、本紙では「1世紀総括」を年間テーマに連載した。本市の経済振興と発展に尽力された歴代会頭・関係各位に敬意を表する。「明日のために」をこれからも-。
スポーツも盛ん。本社主催の市民親善朝野球が半世紀、室蘭と伊達で高校総体女子サッカー。シャークスは惜しくも本大会を逃したが、躍動のスティーラーズ、引き続き全市を挙げて応援する。パリ・オリパラの開、“名言が残せなかった”北口や池崎の道産子たち、大谷の史上初50-50。道民に感動を与えてくれた。
■まだまだ道半ばの政治改革
裏金で揺らいだ「政治への信頼回復」に審判が下った。先の政権選択・秋の陣。岸田内閣が退陣し、前例のない派閥なき総裁選で世論から人気だった石破氏が決選勝利した。就任からの解散・総選挙は戦後最短。「ブレ」もあり、支持率が伸びず“ふてほど”の2000万円支給。自公過半数割れの少数与党となった。
野田氏が返り咲いた立民とともに手取りを増やす「壁」撤廃の国民が躍進。引き上げ決定も制度設計は公平性が担保されなければ。ベーシックインカム?の給付や光熱費補助・キャッシュレス時代の20年ぶり新紙幣、過去最大予算-全て血税「借金漬け財政」から抜け出せない。
ダブルがちらつく夏の陣・比較第1党結成70年へ政権運営は綱渡り。「けじめは、みそぎは」改革3法成立も、まだまだ道半ば。金権体質を許さない姿勢が政治に、有権者に求められる。
道9区は堀井氏不出馬の三つどもえを4期目の山岡氏が圧勝した。胆振では4首長選も。登別、豊浦、厚真が無投票、苫小牧は新人一騎打ちの接戦で後継指名に。一段と地方創生を進めてほしい。
■値上げ鈍化も人手不足加速
長引く円安・物価高で節約生活の中、室蘭に24時間のディスカウント2店がオープンした。値上げは昨年から半減以下の約1万2千品目、勢いは弱まったとされるが、エッグショックにライスショック。高水準の賃上げと最賃改定でも特売チラシとの「にらめっこ」が続く。
人手不足は加速。DX推進やシニア・外国人労働力がなければシステムは維持できぬか。人口減も絡み、開業約130年の室蘭駅が無人化。1997年から現駅舎、炭鉄港の日本遺産も。旧駅舎から「親不孝列車」での帰宅が懐かしい。洋上風力MOPAの取り組みは引き続き活発。人材育成に力を入れていくとし、知事がSEP船を視察するなど道も後押ししている。
前述の能登地方、生活再建中に豪雨で十数人が犠牲となった。南海トラフ臨時情報に、阪神大震災30年・有珠山噴火から四半世紀へ。あらゆる災害を想定した減災・防災への備えが一層重要となる。死亡火災も全国で相次いだ。室蘭でも連続発生し、乾燥するこの時期は特に注意が必要。
■「超高齢化社会」の戦後80年
昭和100年の来年は「超高齢化社会」が襲来する。団塊世代が後期高齢者の25年問題。24年問題もあったが、難題はいつも。医療・介護など社会保障費の増大が予測され、すったもんだの大阪万博に巨額をつぎ込んでいるときか。
特殊詐欺も深刻。SNS型投資から闇バイト強盗が続発している。ばく大な被害額に多数の死者・負傷者、手口がますます巧妙化・凶暴化し“ホワイト案件”はない。団塊ジュニアを中心に年末年始、家族で対策を再確認する時間をつくっていただきたい。
国際では暗殺未遂のトランプ氏が米大統領に復権。来月就任、初の女性とならなかった。長期化する侵攻ロシアとガザ。「一体いつまで何をやっている」。膨大な尊い命・血・涙の惨劇は筆舌に尽くしがたい。プーチン氏5選に北のミサイル連発…暴走を危ぶむ。防衛増税の日本は外交・安保でも針路が問われる。
被爆80年を控え、核廃絶を訴えてきた被団協にノーベル平和賞が授与された。非道な戦争をしっかり語り継ぎ、混迷を深める世界の平和を願うばかりだ。
■地元メディアの使命果たす
迎える本紙創刊80周年。この地域からの長きにわたる支えを「深謝」の一言で表すことはできない。これからも紙面と電子版の融合を進化させた統合編集で、きめ細かく多層的で深みのある多様なコンテンツを追求していく。情報があふれる中、確かな報道に徹し、ステークホルダーから信頼・信用される地元メディアの使命を果たす。
併せて各種主催・共催・後援・協賛事業も継続。「まちの応援団」として、これまで以上の社会貢献で恩返しする。来秋「満天花火」。同実行委と国内最多級の3万発超を打ち上げる。80年の御礼を心に深く刻み、皆さまと鑑賞したい。
編集本部長・編集局長・メディア事業局長 能登哲也