買い物客でにぎわうトライアル本輪西店=20日午前8時半ごろ
◆―― イオンやアークス、PB戦略展開
長引く物価高で、消費者には厳しい状況が続く。室蘭市内でも節約志向への関心が高まる中で20日、市内本輪西町1に、低価格が強みのトライアルカンパニー(福岡)「スーパーセンタートライアル室蘭本輪西店」がオープンした。大型スーパーの競争激化が予想される中、市内の地場大手スーパーは、安価なプライベートブランド(PB)商品の販売に力を入れるなど消費者需要に応える戦略を進める。
▷伊達方面も商圏
トライアルはエブリデー・ロー・プライス(EDLP=毎日お買い得)を基本方針に掲げるディスカウントストア。今回の出店は市内2店舗目。トライアル室蘭本輪西店がオープンしたこの日は、開店前から約80人が列を作った。買い物客は、肉や野菜、総菜などを次々にかごに入れていた。
関係者によると、7月にオープンした室蘭東店との距離は4キロ程度だが「(本輪西店は)伊達方面を含めた商圏とみているため、そこまで競合しないのでは」との見方を示す。一方で同じ地域に出店することで「物流の効率化にもつながる」とした。
同店の浅野裕也店長は、いつ来ても安いをモットーに「地域の方々に身近に感じてもらえる店舗を目指したい」と話した。市内本輪西町から訪れた主婦、武田美智子さん(63)は「安い商品が多いのでうれしい」と開店を待ちわびていたという。「何でもあるので買い物がここで済んでしまうのもありがたい」と笑顔だった。
▷出店や計画続々
市内では来春、プライベートブランド(PB)や自社輸入の商品展開により価格を抑えている点が特徴の業務スーパーが開業を予定している。
西胆振の経済関係者の一人は、相次ぐ出店や出店計画に「物価高で出費が増えている人がほとんど。各店の価格競争の部分でもお得感を求める人は多い」と強調する。業者側でも仕入れ値や物流費の上昇を背景に「消費者ニーズに応えるため、コストを少しでも抑えられるPBを充実させる動きはある」と述べた。
PB商品は小売業者などが企画して独自のブランド名で展開する商品。小売業者と製造を委託されるメーカーが直接取引することで、流通コストや広告費を抑え、安価で商品を提供できるのが特徴。また、自社ブランドを持つことで、他社との差別化を図る手段にもなるため販売戦略の一つになっている。
▷生産拠点を集約
イオン北海道(札幌)は、PB「トップバリュ」を展開。食品のほか、衣服や日用雑貨などの品ぞろえで、多くの消費者に認知されている。そんな中、トップバリュでは本年度、輸送距離の見直しに加え、生産拠点の集約を進めてきた。その効果もあり、イオン北海道では最大86品目(11月13日現在)の値下げを行った。
また、10月には少しでも家計のお役に-と、パンや焼き鮭(さけ)ほぐし身など最大39品目を数量限定で値段を上げずに、中身を増やす実質値下げを実施。同社広報は「今後も、お客さまの暮らしを守ることを最優先に考え、企業努力を続けていきたい」と話した。
▷均一セール好評
アークス(札幌)では加盟する商品供給会社の「CGC商品」をPBに位置付ける。店舗内で専用コーナーを設けるなど拡販に注力する。そのほか、原材料価格が高騰する中でもスーパーアークス中島店(室蘭市中島本町)などでは、価格を据え置いた手作り菓子パンや調理パンを100円(税抜き)で販売しているほか、催事スペースでの均一セールが好評を得ているという。
スーパーアークスを展開する総合小売店チェーンのラルズ(札幌)室蘭地区本部の米澤厚ゼネラルマネジャーは、企画などの取り組みや豊富な品ぞろえを強みに「(物価高の中でも)楽しく買い物ができるような提案をしていきたい」と今後を見据える。
出口の見えない物価高環境。買い物客の動向が注目される中、スーパー各社が地域ニーズを見極め、さまざまな対応を展開する。