講演に耳を傾けるセミナー参加者ら
次世代半導体の量産化を目指すラピダス(東京)の道内進出で、室蘭市内の中小製造事業者の中でも、ビジネスチャンスをうかがう動きがある。市内で今月、国内における半導体産業で先行する熊本県の関係者を招いたセミナーが開かれ、室蘭のものづくりに携わる事業者らが、参入に向けた取り組みを探った。
室蘭市と室蘭テクノセンターが、半導体関連分野への参入ノウハウや業界動向への理解を目的に、輪西町のわにホール市民会館で開いた半導体関連市場新規参入セミナーには、地域の製造業や商社、自治体関係者ら約50人が参加。半導体製造で日本の先端地域となった熊本県の専門家らが講演し、産業の現状や展望を語った。
県内の製造業者の支援を行うくまもと産業支援財団の宮部祐介さんは、半導体の種類や製造工程などの産業概要を説明。半導体産業は装置や部材メーカーのほか、配線形成や組み立て工程など「多くの企業がそれぞれの役割で関わっており裾野が広い業界」と強調した。
県内には、世界最大の半導体受託製造会社、台湾積体電路製造(TSMC)が進出。工業団地の整備など、周辺環境の変化に触れ「ラピダス進出に伴い、進出する企業からビジネスチャンスにつなげていくことも重要」と述べた。
半導体関連省力機器の設計や製作を手がけるアラオ(熊本市)の荒尾淳代表取締役社長は、50年以上前から半導体業界に参入した同社の歴史を紹介。半導体製造装置の一貫受注体制を確立した経緯を振り返り「自社の強みを認識し、さまざまな指導を受けて半導体の仕事に生かしてきた」などと説明した。