記者会見する斎藤聡海上幕僚長=10日夜、防衛省
◆―― 事故調設置、原因究明へ
10日午前9時40分ごろ、福岡県宗像市の大島の沖合約2・5キロで、海上自衛隊の掃海艇「うくしま」から出火し、「エンジンルームから火災が発生し、1人取り残されている」と第7管区海上保安本部(北九州)に通報があった。現場では消火活動が続けられたが火は消えず、翌11日午前0時5分ごろ転覆、同8時35分ごろ沈没した。海自は古賀辰徳3等海曹(33)の所在が確認できないと発表。海上幕僚監部内に事故調査委員会を設置し、原因究明を急ぐ。
転覆によって火が消えたため、海保は11日午後、潜水による捜索を始めた。
海自トップの斎藤聡海上幕僚長は10日夜、東京・市谷の防衛省で記者会見し「国民の皆さまに非常に心配をおかけしている」と述べた。
海保などによると、10日午後2時ごろ、消火に当たっていた海自掃海艇「とよしま」から鎮火したとの連絡があったが、約50分後に再燃が確認された。
海保と海自が救助と消火活動に当たったが、火勢が強く消火困難となり、午後3時45分ごろ、乗員はとよしまに退避した。20代男性が煙を吸って喉の痛みを訴え、病院に運ばれたが命に別条はない。
海自によると、うくしまには約40人が乗船。10日午前に山口県下関市の基地を出港し、日向灘で行う掃海訓練に参加するため、訓練をしながら鹿児島県の志布志港に向かっていた。古賀3曹と搬送された男性はいずれも機関員で、出火当時、火元とみられるエンジンルームの当直だった。
うくしまは全長54メートルで、海自下関基地隊(山口県)所属。掃海艇は海中の機雷除去を主な任務とする。
◆―― 官房長官「重く受け止め」 再発防止を徹底
林芳正官房長官は11日の記者会見で、福岡県宗像市の沖合で10日発生した海上自衛隊の掃海艇火災、転覆事故に関し「政府として、このような事態が発生したことを大変重く受け止めている」と述べた。原因究明と再発防止を徹底すると強調。行方不明となっている隊員の捜索に全力を尽くすとした。