ふれあいサロンよってけ浜町のリニューアルなど中央地区の活性化をサポートした
商店街の活性化に手腕
「元気な室蘭をつくることを第一に考えたい」。2010年11月。3期9年会頭を務めた当時室蘭商工信用組合理事長の天里勝成氏に代わり、新会頭に選任された栗林商会代表取締役社長の栗林和徳氏は、少子高齢化・人口減に対処した活動、会員がメリットを感じる商工会議所づくり、近隣の商工会議所・商工会との連携強化―の3点を基本方針に掲げた。
栗林氏の就任と前後した時期は、商業界にとってまさに激動の時代だった。同年1月20日、118年の歴史を誇る丸井今井室蘭店が閉店。12年1月末には長﨑屋室蘭中央店も閉店。1981年に3店同時オープンした大型店のうち2店が閉店するという事態に見舞われた。
このうち長﨑屋閉店への対応として、テナントや住民・商業者の意見聞き取り、早期の情報提供などを市に要望。中央町の活性化へ地元商店街と連携してふれあいサロンよってけ浜町の整備やまち歩きマップ作成などを通して、買い物客が中央地区に滞留できるよう仕掛けた。
商工業者が日本政策金融公庫との連携を深める機会として、全国初のマル経利用推進サポーター会も11年に立ち上げた。経営ノウハウを小規模事業者に提供する役割を担い、4月をマル系資金強調月間と位置付けて利用推進運動を展開した。市民に親しんでもらう取り組みとして、「かいぎしょ情報市民版」の発行も始めた。
13年11月に再任された栗林氏。議員総会後の記者会見で「大型店や企業の撤退などがあり、専守防衛の要素が多かった」と振り返った。この間、丸井跡地にヤマダ電機のオープンや志賀綜合食料品店閉店後のコープさっぽろによる店舗引き継ぎ、石油大手JX日鉱日石エネルギー(現エネオス)の事業再構築などが浮上。大きな岐路を経た時代でもあった。
商店街活動の活性化へ、室蘭市商店街振興組合連合会(市商連)が運営するむろらん商店街づくりサポートセンターの設立(14年)でも連携した。
また、14年には創立90周年を迎えた記念事業として、活性化基金・元気づくりファンドを立ち上げて、会員事業所の新規事業や創業希望者の出店を応援。にぎわい創出に向けた売り出しや店舗改装費などをサポートした。北海道新幹線の開業効果波及へ登別、伊達両商議所と連携。岩手県宮古市とを結ぶフェリー就航に向けて、現地のイベントに参加。むろらん港まつりでも訪問団を受け入れて、物産販売を通して機運を高めた。
16年に3期目、19年に4期目をそれぞれ迎えて、民族共生象徴空間ウポポイ開業を見据えた観光資源の掘り起こし、バイオマス発電所稼働による経済波及造成、関係機関と連携したUIJターン支援などに取り組んできた。
栗林氏は21年8月の常議員会の席上で、22年10月末での任期満了で退任する意向を表明。会頭選考委員会が「道内経済界への発信力や政策実現能力も期待される」として全会一致で推薦したのが、当時副会頭で現在の会頭・中田孔幸氏(東海建設代表取締役)だった。
(第4部おわり)