2024年7月4日(木曜日)

  1. トップ
  2. むろみんホットニュース一覧(道内)
  3. 〈動画〉いじめ対応、意図的回避 自殺との因果関係認定、旭川中2凍死の再調査委
写真:ぶどうの木

2024/07/01 04:00道内

〈動画〉いじめ対応、意図的回避 自殺との因果関係認定、旭川中2凍死の再調査委

記事写真メイン

記者会見で質問に答える再調査委員会の尾木直樹委員長。左は野村武司副委員長=30日午後、旭川市役所

 旭川市で2021年、いじめを受けていた中学2年広瀬爽彩さん=当時(14)=が凍死した問題で、市が設置した再調査委員会が30日、結果を公表し、凍死は自殺とし、いじめとの因果関係を認定した。学校と市教育委員会は、いじめではなく加害生徒の問題行動と捉えていたため、リスクを発見、低減させることができなかったとした。弁護士の野村武司副委員長は「市教委は早く事態を終結させるため、意図していじめの問題とはしなかった」と断じた。

 当初、市教委の第三者委員会は22年9月、医療情報を得られなかったこともあり、いじめとの因果関係は「不明」と判断。遺族の反発を受け、今津寛介市長が、教育評論家の尾木直樹委員長ら有識者による再調査委を設置していた。

 再調査委は、家族から提供を受けた広瀬さんの交流サイト(SNS)の発信履歴約4千件を分析。亡くなる直前まで恐怖や死に言及されていたことから、いじめ被害に継続して苦しみ、死を決意したと判断した。いじめとの因果関係を認め、市教委側の落ち度をより重く認定した。

 遺族側弁護士は公表を受け「要望をはるかに上回る充実した内容で、高く評価したい」とのコメントを出した。

 再調査結果などによると、広瀬さんは19年の中学入学後間もなく、性的ないじめを含め、学校のクラス内外で計7件のいじめを受けて心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症。自尊感情の低下などが亡くなる直前まで継続したため「いじめが存在しなければ自殺は起こらなかった」と結論付けた。

 広瀬さんには自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)など発達上の特性があり、クラスでの疎外感から先輩らとの人間関係を居場所として求め、いじめ被害を受けたと分析している。

 再調査委員会は、尾木氏や野村氏のほか、精神科医の斎藤環氏らのメンバーで構成。22年12月以降、22回にわたり会合を重ねていた。

 再調査委は「市の情報管理に懸念がある」として、市長に報告書を提出する答申は予定を延期したと明らかにした。


 【旭川中2女子いじめ問題】旭川市の市立中2年広瀬爽彩さんは2019年6月、先輩にからかわれた後に川に入る自殺未遂をし、21年3月に市内の公園で凍死しているのが見つかった。同4月、文春オンラインが、先輩らにわいせつな動画を送らされたことが背景と報道した後になって、市教育委員会はいじめ防止対策推進法に基づく重大事態と認定。第三者委員会は22年9月の最終報告書で先輩7人によるいじめがあったと認定したが、自殺との因果関係は「不明」とし、遺族側の反発を受けて市が再調査を決めた。



◆―― 被害者に寄り添った調査を
 【解説】北海道旭川市で中学2年の女子生徒が凍死した問題で、再調査委員会が、いじめとの因果関係を明確に認めたのは、「被害者の心身の苦痛」を基準に判断するという、いじめ防止対策推進法の理念に立脚していたからだ。家族との信頼関係構築が実態解明を大きく前進させることも明らかとなった。

 旭川市教育委員会が設置した第三者委は、遺族から十分な協力を得られなかったため、いじめと死亡との因果関係を解き明かすことはできなかった。教育評論家の尾木直樹氏を委員長とする再調査委は「遺族の知りたい気持ちに応えること」を念頭に置き、まず信頼関係の醸成に努めた。

 その結果、女子生徒の交流サイト(SNS)の発信履歴の提供を受け、亡くなる直前まで、死に言及する書き込みを繰り返しており、いじめを受け、死にたいという気持ちを募らせていたことが明らかとなった。

 いじめの重大事態を調べる目的は、被害を防ぎ、悲劇を繰り返さないためだ。もちろん中立性は保たなければならないが、被害者や家族の協力は欠かせない。迅速な実態解明につなげるためにも、調査する側には、いじめ防止法の理念に基づく、寄り添う姿勢が強く求められる。

記事写真1
記事写真2
記事写真3

あなたにおすすめのニュース

写真:安全なおすすめドッグフード
写真:Men’s clinic Dylan  /iput
写真:PremyMakeプレミーメイク /ENTERKEY
写真:CocoStep ココステップ /ENTERKEY
写真:ぶどうの木
写真:玄珠米
写真:のぼりべつエゾシカ
写真:共同通信社
写真:日本新聞協会
写真:47NEWS
写真:北海道ニュースリンク
写真:地域再生大賞