
衆院予算委の集中審議で答弁する赤沢経済再生相。右端は石破首相=14日午前
石破茂首相は14日の衆院予算委員会で、トランプ米政権による関税措置を受けた対米交渉について「どんどん妥協して、早く交渉をまとめれば良いとの考え方には立っていない」と述べ、性急な結論は避けるべきだとの認識を示した。トランプ大統領の発言の意図など「これ以上ないほど精緻に分析して臨みたい」と強調。国内の経済対策を講じる際は、効果や財源を十分考慮する必要があると言及した。
今後の日米関係について「両国がこれから先、世界のために何ができるか、同盟関係を新たに築くことが重要だ」と語った。関税措置を巡り、14日午後にシンガポールのウォン首相と電話会談を調整していることも明らかにした。交渉を担当する赤沢亮正経済再生担当相は「国益にとって何が最もふさわしくて効果的なのかを最優先に考え、全力で取り組む」と述べた。
報復関税について首相は否定的な考えを表明。「食料品やエネルギーの価格が高騰している状況で、報復関税という手段をとることが日本や国民の利益に結びつくと考えていない」と述べた。
経済対策に関しては「効果や、どういう方の役に立つのか、財源をきちんと考えなければいけない」とした。与党内に浮上する現金給付が夏の参院選対策ではないかとの指摘に対し「選挙目当てのばらまきは考えていない」と否定した。
立憲民主党の野田佳彦代表は交渉の態勢を巡り、鉄鋼や自動車への追加関税や相互関税が世界貿易機関(WTO)ルール違反に当たると指摘。岩屋毅外相は、WTO協定との整合性に深刻な懸念を有しているとの見解を示した。