
2000年噴火の対応を振り返るパネリスト
【洞爺湖】2000年有珠山噴火から25年となった31日、洞爺湖町で噴火の再来に備えるパネルディスカッションが、洞爺湖温泉の洞爺湖文化センターで開かれた。当時、調査や避難を経験した火山有識者らが、今後の防災の在り方について活発に意見を出し合った。
町民ら約200人が参加。冒頭あいさつで、下道英明町長は「00年噴火は、前兆をとらえた避難や地域の連携など多くの教訓を与えた。きょうが災害への心構えをつくる一助になれば」と願った。
パネルディスカッションは、下道町長がコーディネーターを務め、火山学者や洞爺湖有珠火山マイスターら5人のパネリストが登壇。①00年噴火の振り返り②避難生活から生活再建へ③次の噴火に備える-の三つをテーマに、思いや意見を発表した。
洞爺湖有珠火山マイスターの荒町美紀さんは前回噴火当時の避難所生活を回想。入浴に訪れていた公衆浴場は「避難者らで大変混雑していたのを覚えている」と話した。一方、「避難所で幼い子どもが、年上の子に遊んでもらい助かった」と助け合いの大切さも説いた。
噴火後に生まれた取り組みについては、火山学者の宇井忠英北大名誉教授が地域限定称号のマイスター制度を紹介。自身もマイスターの下道町長は、中学生をガイドした経験を例に「子どもたちの質問に答えることで、自分の勉強にもなる」と意義を強調。その上で「噴火から25年が経過し、当時を知らない人が増えている。『自分は大丈夫』と油断しないで、きょうの内容を広めてほしい」とまとめた。
町内高砂町の松本秀男さん(85)は「自治体や気象庁の取り組みを知ることができて役に立った。もっと準備を進めていかなければならない」と気を引き締めていた。
パネルディスカッションの前には、噴火発生時刻の午後1時7分に合わせて町内でサイレンを吹鳴。町民たちがおのおの備えを見直した。