
洞爺湖の自然環境について、研究成果を発表する酪農学園大学関係者
◆―― シカ生息状況や水質分析…
【洞爺湖】洞爺湖の生命と環境を考える「洞爺湖生物多様性シンポジウム」が8日、洞爺湖町栄町の町役場防災研修ホールで開かれ、専門家や学生らが調査、研究の成果を伝えた。
町民ら約60人が参加した。環境省外来生物対策室の松本英昭室長は基調講演で、「日本の生物多様性が危機的な状況にある」と強調。大きな要因としてアメリカザリガニやアカミミガメなど外来種被害を挙げた。「全ての国民が外来種問題の当事者」とし、(外来種を)①入れない②捨てない③拡げないの「外来種被害予防三原則」を説明した。
シンポジウムには、昨年洞爺湖周辺で調査に当たった酪農学園大学の教員や学生らが登壇。このうちの一人、伊吾田宏正准教授は「洞爺湖中島におけるエゾシカ生息数」について調査した研究内容を伝えた。1957~65年に観光目的として、島内に持ち込まれた3頭が野生化。何度か捕獲を試みるも個体数は増加傾向にある。人への警戒心が強まっていることもあり、夜間銃猟やドローンを活用した捕獲を提案した。
このほか、水質分析やプランクトン、ウチダザリガニ防除対策を取り上げた発表もあり、出席者の興味を引いていた。
町と同大は2009年に地域総合交流協定を締結している。