◆―― 繰り返す流行、社会に負荷 基本的対策と警戒継続
新型コロナウイルス感染者が国内で初確認されてから15日で5年となった。感染者数は抗体保有率の調査から昨年3月時点で7千万人以上と推計され、人口動態統計による死者数の累計は同8月時点で13万人に上る。オミクロン株による感染が急拡大した2022年をピークに死者数は減っているが、インフルエンザより圧倒的に多い。流行は今も夏と冬に繰り返されており、警戒が続いている。
古瀬祐気・東京大教授(感染症学)は「人口の大半が感染するであろうことは分かっていた。ただ、有効なワクチンが短期間で開発され、他の対策と併せ流行の波を小さくできた」と評価。一方で「コロナの流行は今後も社会に負荷をかけるだろう。基本的な感染対策といった負荷を減らす努力や仕組み作りを続けてほしい」と呼びかける。
厚生労働省が22府県を対象に昨年3月に実施した血液調査では、コロナ感染で得られる抗体の保有率は60・7%。日本の人口に置き換えると少なくとも約7300万人が一度は感染したことになる。さらに複数回感染した例も多く報告されている。人口動態統計で、確定数(20~23年)と、確定前の概数(24年1~8月)に計上されたコロナ死者数を集計すると、約13万2千人。インフルエンザの死者は同期間で約3600人だった。
当初感染者は全数報告義務があったが、23年5月に感染症法上の位置付けが5類に移行してから全国約5千の定点医療機関に限定されている。治療薬代の補助がなくなったことで、感染の疑いがあっても受診しないケースが増加しているとみられ、正確な感染実態を把握しづらくなっている。
日本の死者数は他の先進国と比べて少ないが、コロナの影響は出生数減少や自殺者増加など多岐にわたった。病院や施設によっては厳しい面会制限が今も続く半面、一般の社会活動では対策の緩和が進み、コロナ禍で減っていたインフルエンザやマイコプラズマ肺炎など他の感染症が広がる。
国はコロナの経験を次のパンデミック(世界的大流行)に生かそうと、今年4月に政府に科学的助言をする「国立健康危機管理研究機構」を設立する。
【新型コロナウイルスの抗体保有率】新型コロナの免疫を持つ人の割合。N抗体とS抗体の2種類があり、血液検査で調べることができる。ウイルス内部にあり、遺伝子を包む物質に反応するN抗体は自然感染によってできるため、感染歴の有無が分かる。ウイルス表面のタンパク質に対するS抗体はワクチン接種でも産生され、免疫の保有状況の指標となる。全国の献血や医療機関の検査で残った血液を調べる大規模調査は、流行の予測や感染対策の検討に役立つ。
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2025/01/15 00:00新型コロナ
感染7千万人、死者13万人 コロナ国内初確認5年
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