5日、米カリフォルニア州ビバリーヒルズでゴールデン・グローブ賞を受賞した真田広之さん(右から2人目)ら(AP=共同)
【ロサンゼルス共同】米ゴールデン・グローブ賞(第82回)の発表・授賞式が5日、カリフォルニア州ビバリーヒルズで開かれ、米配信ドラマ「SHOGUN 将軍」がテレビドラマ部門の作品賞を獲得した。出演した真田広之さん(64)とアンナ・サワイさん(32)がそれぞれ主演男優賞と主演女優賞に選ばれた。浅野忠信さん(51)もテレビ部門の助演男優賞を受賞し、4冠を達成した。
真田さんは受賞スピーチで「私の人生に関わってくれた全ての人に感謝したい。皆さんのおかげでこの場に立てた」と述べた。サワイさんは「良い脚本」のおかげだと強調した。浅野さんは「この賞は私にとってとても大きな贈り物」と語った。
SHOGUNは「関ケ原の戦い」前夜を舞台に戦国武将らの人間模様を描いた。ベストセラー小説が原作。真田さんは徳川家康がモデルの武将を、サワイさんはこの武将の家臣となった英国人航海士の通訳を担った女性を演じた。
昨年のエミー賞では、連続ドラマ部門作品賞や真田さんの主演男優賞、サワイさんの主演女優賞など18冠を達成した。テレビ番組の単一シーズンの受賞数としては歴代最多を記録した。浅野さんも助演男優賞候補だったが、受賞しなかった。
同じ小説を原作とする同名のドラマが1980年にも制作され、ゴールデン・グローブ賞テレビドラマ部門作品賞を獲得。出演した故・島田陽子さんが主演女優賞、リチャード・チェンバレンさんが主演男優賞に輝いた。
真田広之(さなだ・ひろゆき) 1960年東京都生まれ。子役を経て78年に映画「柳生一族の陰謀」で本格デビュー。アクション俳優として活動を始め、NHK大河ドラマ「太平記」やドラマ「高校教師」などに主演した。2003年の映画「ラストサムライ」で米ハリウッドに進出し、米国を拠点に活動。「SHOGUN 将軍」では武将の吉井虎永を演じるだけでなく、プロデューサーも務めた。日本から時代劇のスタッフを呼び、所作から衣装まで指導するなどして戦国時代を克明に描いた。
アンナ・サワイ 1992年ニュージーランド生まれ、東京育ち。ミュージカル「アニー」で主演を務め、2009年に「ニンジャ・アサシン」で映画デビュー。ダンスボーカルグループで活動後、21年の映画「ワイルド・スピード ジェットブレイク」など海外作品に出演した。「SHOGUN 将軍」では、真田広之さん演じる武将に仕える通訳の戸田鞠子をミステリアスに演じて注目を集めた。米誌タイムが24年、世界で最も影響力がある「次世代の100人」に選んだ。
浅野忠信(あさの・ただのぶ) 1973年横浜市生まれ。88年にテレビドラマ「3年B組金八先生3」で俳優デビュー。90年の「バタアシ金魚」で映画初出演。タイや日本などの合作「地球で最後のふたり」で2003年、ベネチア国際映画祭コントロコレンテ部門の主演男優賞を獲得した。11年の映画「マイティ・ソー」で米ハリウッドに進出。「SHOGUN 将軍」では、真田広之さん演じる武将の家臣・樫木藪重を、ユーモアを交えて演じて人気を集めた。
【ゴールデン・グローブ賞】映画やテレビドラマの作品、出演者らに贈られる賞で、後の米ハリウッド外国人記者協会が設立した。「黄金の地球」を意味する。第1回の授与は1944年。56年以降にテレビ関連の賞が追加された。2020年代に入り、投票権者に黒人が一人もいないという人種構成の偏りが批判された。組織改革を経て、現在は日本を含む80カ国超の約330人が投票権を持つ。黒人とアジア系はそれぞれ1割を超える。