陸上自衛隊朝霞駐屯地や隣接する訓練場で行われた自衛隊発足70年記念の観閲式に出席した石破首相=9日午前(ロイター=共同)
石破茂首相は9日、陸上自衛隊朝霞駐屯地(東京都練馬区など)や隣接する訓練場で、自衛隊発足70年記念の観閲式に出席した。防衛相を務めていた2007年以来17年ぶりの出席。部隊への訓示で、中国やロシアによる領空侵犯を「主権の侵害で全く受け入れられない」と非難。北朝鮮による弾道ミサイル発射を含め、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しているとして、防衛力の抜本的強化を「着実に実現する」と表明した。
敵の射程圏外から対処可能な「スタンド・オフ防衛能力」や、弾薬・燃料の確保といった戦闘継続能力(継戦能力)の強化、自衛隊と米軍の指揮・統制枠組みの向上を進めると強調。自由で開かれたインド太平洋実現に向け「同盟国、同志国間のネットワークを有機的、重層的に構築し、抑止力を強化する」と述べた。
米大統領選で勝利したトランプ次期大統領との電話会談で、日米同盟を新たな高みに引き上げるために協力していくことを確認したとした。
首相就任時に設置を表明した、自衛官の処遇改善に向けた関係閣僚会議にも言及。「国防という極めて枢要な任務に誇りと名誉を持って専念できるよう、万全の体制を構築する」と語った。
中谷元・防衛相も観閲式に出席した。1954年に発足した自衛隊が70年を迎えるのを記念して陸自のミサイル部隊や戦車などが行進し、海上自衛隊の哨戒機、航空自衛隊の戦闘機なども飛行。観閲式は毎年、陸海空3自衛隊の持ち回りで開催。準備にかかる部隊への負担軽減のため、近年は無観客で行われている。