上皇さまと上皇后美智子さま=4日、東京・元赤坂の赤坂御用地(宮内庁提供)
上皇后美智子さまは20日、90歳の誕生日を迎えられた。上皇さまと共に卒寿となった。穏やかな日々を送っていたが、今月、右大腿骨を骨折して手術を受けた。車いすで生活し、歩行の再開に向けたリハビリに毎日1時間ほど励んでいる。石川県能登地方の被災地を案じ、被災者への思いを深めているという。
宮内庁によると、元日に起きた能登半島地震で、美智子さまは様子を伝える報道に接するたびに心を痛めていた。9月に記録的豪雨で再び大きな被害が生じ、一層心配を募らせた。
静かで規則正しい生活の中、上皇さまと全国を巡った旅を思い起こしながら、社会の出来事や人々の暮らしに目を向け、物事が良き方向へと進むことを願っている。
ご夫妻の卒寿を祝う音楽会が7月、皇居・桃華楽堂で開かれ、長く交流のある演奏家が心のこもった演奏を披露した。美智子さまの周りには児童文学や英詩朗読、音楽を通した仲間が多く、こうした交流が生活に潤いをもたらしているという。
天皇、皇后両陛下の長女愛子さまが春に大学を卒業し、秋篠宮ご夫妻の長男悠仁さまは9月に成人した。美智子さまは孫の成長を喜んでいる。
日課にしている上皇さまとの音読は、池宮城秀意の「戦争と沖縄」を読む。最近は、美智子さまの体力の低下を心配し、上皇さまが「大丈夫?」と声をかける場面が多くなっていた。
私的旅行で5月、上皇さまが戦中に疎開した栃木県・日光を訪ね、先の大戦と当時を振り返る上皇さまの話に耳を傾けた。夏は長野県・軽井沢で静養し、中国の旧満州から引き揚げてきた人たちが戦後入植した大日向開拓地を散策した。