衆院が解散され万歳三唱する議員=9日午後4時4分、衆院本会議場
◆―― 野党、政権交代訴え 短期決戦、27日投開票
衆院は9日午後の本会議で解散された。政府は臨時閣議で衆院選日程を「15日公示、27日投開票」と決定する。これに先立ち、石破茂首相(自民党総裁)は派閥裏金事件に絡み、政治資金収支報告書に不記載があった議員ら12人を非公認にすると決めた。立憲民主党の野田佳彦代表は党首討論で「大半が公認で、裏金隠し解散だ」と批判。政権交代こそ最大の政治改革だと訴えた。
1日の首相就任から8日後の衆院解散は戦後最短。解散から18日後に投開票を迎える短期決戦となる。裏金事件を受けた政治改革の在り方や物価高対応が争点となる。
衆院選は岸田政権が発足した直後の2021年10月31日以来。小選挙区定数「10増10減」などを受けた新区割りで初めて実施され、小選挙区289、比例代表176の計465議席を争う。
自民は選挙戦で、地方の成長を底上げする地方創生を訴える意向だ。公明党も生活支援へ電気・ガス、ガソリン代の支援継続を主張する。
立民、日本維新の会は政治改革で企業・団体献金の禁止を提唱。共産党は年金支給額引き上げ、国民民主党は減税や社会保険料軽減を打ち出す。
首相と全閣僚は9日午前の臨時閣議で衆院解散の閣議決定書に署名した。衆院本会議で額賀福志郎議長が解散詔書を読み上げた。
【7条解散】憲法7条に定める「内閣の助言と承認」を受けた天皇の国事行為としての衆院解散。天皇は国政に関する権能を有しておらず、実際は首相が判断するため「首相の専権事項」と称される。解散権行使については、69条が規定する内閣不信任決議案の可決か信任決議案の否決の際に限られるとの議論がある。ただ、不信任を受けた解散4回のうち解散詔書に69条と書かれたのは7条と併記した1948年の1度だけ。52年以降、詔書に7条のみを記す7条解散が定着している。