昨年設立50周年を迎えた室蘭市中島町の電気設備工事業・鐵和電設は、コミュニケーションを重視した社風が特徴的。年齢に関係なく話しやすい環境を整えるなど働きやすい職場、人づくりに注力しています。徳本栄一代表取締役社長に会社運営の思いを聞きました。
―コミュニケーションを重視している理由は何ですか
電気工事業として、現場での作業が中心になっています。特に現場では作業に危険が伴うこともあることから普段から何でも話し合える関係を築くことで、いざというときに力を発揮できるようにしています。
年齢の若い社員から経験を積んだベテランまで在籍、どんなことでも相談し合える社風が働きやすい環境につながると考えています。
現場では午前10時と正午、午後3時の計3回、休憩時間を取っております。ジュースなどを飲みながらコミュニケーションを深めており、私も時々現場を回りますが、たわいのない話でも関係を深めるきっかけになっているように感じます。
―社内でのコミュニケーションツールが充実していますね
会社の親睦会を定期的に開催しています。以前は花見やキャンプもしておりましたが、現在は新年会や忘年会などを開催。50周年記念の社員旅行では、東京に行き、屋形船に乗って食事をしたり、スカイツリーを見学したりと家族も含めてリフレッシュできました。
―就任から10年、思い描いていた会社になっていますか
少しずつですが、近づいていると思います。就任当時は右も左も分からず、がむしゃらに取り組んできましたが、やはり、重要視したのはコミュニケーションの構築です。
まずは役員間でのコミュニケーションの構築から始めて、役員が担当する各チームで大切にしてほしいと伝えました。それまでは競い合うような関係でしたが、一つのチームが忙しい時には別のチームが協力するなどの体制ができました。拠点がある室蘭、札幌同士でも、いい連携ができていると思います。
―地域貢献事業も盛んです
室蘭市のまちピカ活動がスタートしたことをきっかけとして、2009年から清掃活動を行っています。地域の美化活動に貢献しようと、会社周辺の清掃から始めました。地域の人たちから「いつもお疲れさま」と声をかけられることも。
参加人数が多い時にはイタンキ浜や知利別川周辺などに出向いてのごみ拾いも行い、公園の草刈りなども実施。初めて清掃活動に取り組んだ時には自転車やタイヤなどが捨てられていることもありましたが、今ではさまざまな会社や団体が取り組んでいて、目立ったごみは見られなくなりましたね。
設立50周年の記念事業として、まちへの恩返しの意味を込めて、エアコンを市に寄贈しました。私の子どもたちからも「学校の中は暑い」という声を聞いていたこともあり、地域の未来を担う子どもたちをサポートしようとの思いで10台寄贈。その後、市に300万円を寄付させていただきました。
確かな技術と絆を大切に。
ーこれからも。
入社4年目の横田悠樹さん(22)と1年目の駒井龍矢さん(19)は、ともに室蘭市内の公営住宅の配線工事などに携わっています。
横田さんは父方の祖父母が室蘭に住んでいる縁で、留萌工業高校卒業後に入社。幼少期には室蘭に頻繁に遊びに来ていたといいます。駒井さんは室蘭工業高校在学中に見学に訪れた際、社員同士が気兼ねなく話している雰囲気が自分に合っていると感じて入社を決めました。
横田さんは「先輩から丁寧に教えてもらうことが多かったです」と振り返り、新卒入社では初めての後輩となる駒井さんへ手取り足取り技術を伝授しています。駒井さんも「説明が分かりやすく、少しずつでも、できることが増えてきました」と話しています。
横田さんは温泉巡り、駒井さんはドライブと休日の過ごし方はさまざま。それでも会社が重視しているコミュニケーションへの受け止めは一致しているようです。
横田さんは「現場で分からないことは、しっかり教えてくれます。社会人1年目は緊張もあり、分からないことばかり。先輩たちからも声をかけますが、積極的に聞いてきてほしい」、駒井さんも「もしかしたら『怒られたりすることが多い』と思うかもしれませんが、新人の目線に立って丁寧に教えてくれます」と話しています。
鐵和電設株式会社 代表取締役社長
徳本 栄一(とくもと・えいいち)
1981年10月10日生まれ。登別市出身。
2007年2月鐵和電設入社、2014年社長就任。
[ほか主な役職]
室蘭地方電気工事業協同組合理事、同青年部長、室蘭電業協会会長、北海道電気工事業工業組合青年部連合会 副会長
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