息子になりすました不審電話を受けた室蘭市内の女性。だまされそうになったやりとりを語った
◆―― 「声似てる」「息子だと思った」 「#9110に電話を」室蘭署呼びかけ
若い人はみんな声が似ている。息子だと思った-。昨年10月、知らない男から突然、自宅に特殊詐欺が疑われる電話がかかってきたという室蘭市内に住む70代女性が、その時の様子を語った。
電話が鳴ったのは、女性が食事を終え、新聞を読んでいる最中だった。
「いきなり母さんとも何も言わずに、きょういるって言われたんですよ」
息子からの電話だと思った女性は「きょうはいるよ」と答えた。
その時の状況について「若い人ってみんな声が似ているんですね。そのときも息子だと思って」。
男は「宛先を間違えて実家に郵便物を送ってしまった」「午前中に郵便局から連絡が行く」と話した。
女性は電話をするうちに違和感を覚えた。
「(息子の名前)かい?」と尋ねると、男は「なんでそんなこと聞くの」と答えた。「息子はそういう言い方はしない」。女性はわれに返った。
その後、女性は警察と息子に連絡。息子はそのような電話をしておらず、詐欺が疑われる電話だったことが分かった。
被害に巻き込まれる可能性があった女性。「私もテレビの報道を見て、なんでだまされるのかなと思っていたが、いざ電話がかかって来たら息子だと思ってしまった」と振り返る。
室蘭警察署管内(室蘭、登別両市)の2022年の特殊詐欺事件の認知件数は6件、被害額約3600万円で、21年の5件、約1900万円より増加した。
危機感を強める同署の川村幸輝生活安全課長は「詐欺集団の手口が巧妙化している。不審に思ったときには、警察の相談ダイヤル#9110に電話してほしい」と呼びかけている。