
記者会見するSBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長=17日午後、東京都港区
SBIホールディングス(HD)の北尾吉孝会長兼社長は17日に東京都内で記者会見し、フジ・メディア・ホールディングスに関し「敵対するなら徹底的に勝負する」と述べ、経営改革への強い決意を表明した。フジHDに役員選任案を再提示するよう要求し、ITなどを活用した独自の事業改革構想を披露した。
北尾氏は、グループでフジHD株の7%超を持つ米投資ファンドのダルトン・インベストメンツが社外取締役への起用を求めている12人のうちの1人。6月のフジHDの株主総会に向けて、「物言う株主」による圧力が強まっている。
北尾氏は、2005年に旧ライブドアとフジテレビがニッポン放送の経営権を巡り対立した際にはフジに友好的な立場で和解に関わった。旧村上ファンドを率いて同時期にニッポン放送株のインサイダー取引で逮捕された村上世彰氏の長女らがフジHD株式の11%超を握ったことも既に判明し、約20年前の騒動の中心にいた人物の名前が次々と再登場している。
北尾氏はフジHDが発表済みの経営陣の選任案は「不十分だ」と訴え、同社がダルトンと協議して人選を再考すべきだと主張した。ただ、アニメを担当してきた清水賢治専務(次期フジHD社長)は経営陣に残すべきだとの考えを示し、ダルトンと見解が割れた。
北尾氏は3月の講演でも、メディアやIT、金融を融合させて新たなサービスを展開する構想を表明している。この構想をベースにフジHDの改革を進める考えだ。
フジHD株を巡っては、SBIHD傘下の資産運用会社レオス・キャピタルワークスも5%超を保有する。
【フジテレビ問題】元タレント中居正広氏の性的トラブルに関する「週刊文春」などの報道を発端に、フジテレビの対応が批判を浴びてCM差し替えや経営陣の刷新につながった問題。フジの第三者委員会は中居氏による性暴力を認定し、ハラスメントに寛容な企業体質があったと指摘した。フジの親会社は日枝久(ひえだ・ひさし)取締役相談役の退任を含む新体制案を発表したが、株主の米ファンドが異を唱えるなど混乱が続いている。