
エス・ジー・シー佐賀航空に入る海保の職員=9日午後0時44分、佐賀市
◆―― 海上の機体回収、詳細調査
長崎県・壱岐島沖で3人が死亡した医療搬送用ヘリコプター事故で、唐津海上保安部は9日、業務上過失致死傷と航空危険行為処罰法違反の疑いで、運航会社のエス・ジー・シー佐賀航空(佐賀市)の家宅捜索に入った。捜査関係者が明らかにした。同日、海上にあった事故機がサルベージ船に回収された。海保は、10日朝に佐賀県唐津市の港に陸揚げすると発表。機体を詳しく調べる。
エス・ジー・シー佐賀航空の担当者は家宅捜索について「回答は差し控える」と述べた。
ヘリは長崎県・対馬空港を6日午後1時半に離陸し、約15分後にシステム上で航跡が動かなくなった。同5時5分ごろに機体が見つかり、救助された6人のうち3人の死亡が確認された。
事故を巡り、海保は機長らから任意の事情聴取を進めている。関係者によると、事故時に「フロート」と呼ばれる浮具を膨らませるボタンを自ら押したと説明しているという。運輸安全委員会の航空事故調査官も同社への聞き取り調査を実施した。
ヘリは福岡和白病院(福岡市)が同社に運航を委託。主に長崎県の壱岐島や対馬など離島の医療機関からの要請に応じ、患者を搬送してきた。同社は昨年7月、福岡県柳川市で2人死亡のヘリ墜落事故を起こし、福岡和白病院は搬送用ヘリの運航を一時休止。安全性を再確認し、同11月に運航を再開していた。