和歌山2区で当選を決め、支持者と握手する世耕弘成氏=27日夜、和歌山県田辺市
自民党を離党し「裸一貫」の勝負に打って出た世耕弘成氏(61)が、熾烈な保守分裂選を制した。衆院和歌山2区で自民の二階俊博元幹事長の三男伸康氏(46)に勝利。「何も組織がない厳しい選挙の中で、応援してくれた人に感謝したい」と顔をほころばせた。後継者に名乗りを上げた伸康氏は二階氏の「王国」を守れず、沈痛な表情だった。
午後8時ごろ、テレビで世耕氏の当選確実の速報が流れると、和歌山県田辺市の選挙事務所に集まった50人以上の支援者らから「おめでとう」と祝福の声が上がった。姿を現した世耕氏は何度もお辞儀し、支援者と固い握手をして喜びを分かち合った。
一方、石破茂首相ら自民幹部からの必勝の「ため書き」で埋め尽くされた伸康氏の事務所は、静寂に包まれた。二階元幹事長は姿を見せず、伸康氏は「結果は私の責任。期待に応えられず残念に思う」と絞り出した。
首相を目指すと公言してきた世耕氏。参院からのくら替えがかねて取り沙汰されたが、二階元幹事長が絶大な影響力を保つ間は静観を続けた。
転機となったのは自民派閥裏金事件。元幹事長が衆院選不出馬を表明、自身も処分に従い自民を離党すると無所属での出馬を決断した。自民参院幹事長などを歴任した実績を訴え「候補者の中で即戦力は私だけ」と強調した。
伸康氏側は王国を死守するため総力戦を展開した。世耕氏を応援すれば「党規違反になる」とする文書を自民県連が党員に送り、保守層固めに奔走。岸本周平知事や町村長で構成される町村会からの支援も受けたが、届かなかった。